こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。創業融資の支援をしています。
これから起業してビジネスを始めていくにあたって創業融資の利用を検討している方は多いと思います。
しかし、一言に創業融資と言っても様々な借入先があるため、何を利用すればいいか分からないという方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、公庫と銀行の創業融資について比較し、どちらが良いかをご紹介していきたいと思います。
公庫の創業融資のメリット
まずは公庫の創業融資のメリットについてご紹介していきたいと思います。
1:比較的審査に通りやすい
公庫の創業融資のメリットとして、銀行などの民間の金融機関に比べて審査が通りやすいというのがあります。
公庫というのは100%政府が出資している金融機関となっており、中小企業などの資金調達を支援するというのを目的の1つにしています。そのため融資に対して積極的です。
そのため、銀行など他の金融機関からの融資が受けられなかった場合でも、公庫なら融資してもらえる場合があります。
2:金利が安い
次のメリットは、金利が安いと言う点です。
融資には金利がつきもので、この金利が高い=返済額が多くなるということにつながります。金利はこれから融資を受けようと考えている方にとって、最も気になる点の1つと言えるでしょう。
公庫の創業融資は金利が銀行の創業融資に比べて低い傾向にあります。例えば銀行から融資を受けると約3%以上の金利がつく場合が多いですが、公庫の新創業融資制度の場合は基準利率が2.46~2.85%となっており、少し低めです。
少しでも返済額を減らしたいという場合は、公庫の創業融資を利用するのがいいでしょう。
3:融資の実行が早い
公庫の創業融資は、銀行に比べて融資の実行が早いというのも特徴です。
銀行の場合は申込みから融資が実行されるまで約2~3ヶ月ほどの期間が必要になる場合が多いです。ビジネスでは時期やタイミングというのが重要になることも多いので、2~3ヶ月の間足止めを食ってしまうというのは大きなハンデになってしまうこともあります。
しかし、公庫の創業融資の場合は申込みから融資実行まで約1ヶ月~1ヶ月半ほどとなっています。銀行のおよそ半分ほどの期間でスピーディに融資を受けることが出来るというのは嬉しいポイントです。
4:担保・保証人不要で融資を受けることが出来る
公庫の創業融資の大きな特徴として、担保や保証人がなくても融資を受けることが出来るという点があります。
公庫の融資制度の1つである新創業融資制度では、他の融資制度と組み合わせて利用するという制限はありますが、担保や保証人がなくても融資を受けることが可能になります。
新創業融資制度の利用には雇用創出等の要件や自己資金要件を満たす必要があり、融資限度額は3000万円(うち運転資金1500万円)となっています。
担保や保証人を用意しなくても融資を受けることが出来るというのは、これから創業しようと考えている方にとって大きなメリットになります。あなたもぜひ、公庫の創業融資を検討してみてください。
公庫の創業融資のデメリット
次に、公庫の創業融資のデメリットについてご紹介していきます。
1:事業に関するアドバイスは受けづらい
事業を行なっていると、融資の借入先に相談をしたり、アドバイスをもらうということもよくあります。
しかし、公庫の場合は各事業の専門家と呼べる人材が不足しているため、役に立つアドバイスをもらうことが出来ない場合が多いというのが難点です。
2:起業する分野の専門家が担当してくれるとは限らない
公庫は前述の通り、各事業の専門家と呼べる人材が不足している傾向にあります。
そのため、融資担当となった方があなたが起業する分野の専門家ではなく、事業内容などについて説明するのに苦労するという場合もあります。
3:財務内容に関わらず一定の金利が発生する
公庫の創業融資の場合、財務内容に関わらず一定の金利が発生します。
財務内容というのは簡単に言えば会社の財務状況のことで、会社がどれくらいの利益を上げているか?また、会社にどれくらい資金的な余裕があるかということを指します。
銀行などの民間の金融機関の場合、財務状況が良い会社の場合は金利が安くなり、逆に財務状況が悪い場合は金利が高くなる傾向にあります。
しかし、公庫の創業融資の場合、金利の決定に財務状況は関与しません。そのため、財務状況が良くても金利が安くなることはありませんし、逆に財務状況が悪いからと言って金利が高くなることはありません。
これは一概にデメリットと言えるわけではありませんが、公庫から創業融資を受ける予定なら覚えておいていいでしょう。
銀行の創業融資のメリット
次は、銀行の創業融資のメリットについてご紹介していきます。
1:銀行との関係構築に役立つ
銀行から創業融資を受けるメリットとして、銀行との関係構築に役立つという点があります。
ビジネスを行なっていく上で、創業融資以外にも金融機関からの融資が必要になることはあると思います。そんな時、銀行は融資を相談する候補の1つとして挙がることもあるでしょう。
銀行から創業融資を受け、しっかりと計画通りに返済していくことが出来れば、信頼出来る企業として銀行からの心象も良くなります。そのため、今後新たに融資が必要になった際に再度同じ銀行から借りやすくなる可能性も考えられます。
長い目で考えた場合、銀行から創業融資を受けた方がメリットがあるということもあります。自分の将来の展望に合わせて、どこから創業融資を受けるかを決定しましょう。
2:会社の信用につながる
一般的に、銀行などの民間金融機関の融資というのは公庫よりも審査が厳しく、借りにくいというのが特徴です。
しかし、そうした厳しい審査をクリアして融資を受けることが出来たということは、会社に一定以上の信用があるということにもなります。
会社の信用というのはビジネスの様々な面で役立つことがあるので、後々メリットになる可能性もあると言えます。
銀行の創業融資のデメリット
次に、銀行の創業融資のデメリットについてご紹介していきます。
1:銀行によっては融資に積極的ではない可能性がある
1つ目のデメリットは、融資に対する姿勢が銀行によって違うという点です。
銀行は各店舗ごとに運営状況に違いがあるため、融資に積極的な店舗もあれば、逆に融資に対して消極的な店舗もあります。
そのため、融資に対して消極的な店舗に相談しに行ってしまうと、結局融資を受けることが出来ず時間を無駄にしてしまう可能性があります。
また、個人や中小企業への融資には消極的で、大企業への融資をメインにしている銀行もあるので注意が必要です。
融資に積極的な銀行は創業融資についての説明会などを積極的に行なっている傾向にありますので、そうした銀行を狙って相談しに行くようにしましょう。
2:審査が厳しい
先にもお伝えしましたが、銀行の融資審査というのは公庫に比べて厳しいので、申し込んだけど融資が受けられなかったという事態に陥ってしまうこともあります。
確実性を重視するなら、より借入しやすい公庫に相談するのがいいでしょう。
まとめ
今回は公庫と銀行、どちらから創業融資を受けるのがいいのか比較させていただきました。
融資の受けやすさや金利の安さ、融資実行の早さなどを考慮すれば、総合的に見て公庫の創業融資を利用するのがいいでしょう。
しかし、事業の将来を考えれば、早い段階から銀行と関係を作っておくというのも良いかも知れません。最終的には自分の事業の展望や条件に合ったものを選ぶのがいいでしょう。