こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。
系統用蓄電池設置に向けたサポートをしています。
近年、日本では系統用蓄電池(BESS)への投資が急速に拡大しており、
外国籍の個人・海外法人から
- 「日本で蓄電池事業はできるのか」
- 「外為法の届出は必要?」
- 「どの段階で日本の専門家に相談すべき?」
といったご相談を多くいただくようになりました。
この記事では、外国人・外資系事業者向けに
外為法(外国為替及び外国貿易法)と系統用蓄電池事業の関係を、
できるだけ噛み砕いて解説します。
外国人が日本で系統用蓄電池事業を行うときの全体像
まず、大前提として知っておいていただきたいのは、
「蓄電池=設備の問題」だけでは終わらない
という点です。
外国人・外資が関与する場合、次のような複数の法律が同時に絡みます。
- 外為法(安全保障・対内直接投資)
- 電気事業法(発電事業者・蓄電所の位置づけ)
- 都市計画法(開発許可・市街化調整区域)
- 農地法(農地転用)
- 建築基準法(建築物に該当するか)
- 消防法(危険物規制)
- 盛土規制法・景観法 など
特に、最初に判断を誤りやすいのが「外為法」です。
外為法とは?外国人が最初にぶつかる壁
外為法(外国為替及び外国貿易法)は、
外国人・外国法人が日本の事業や不動産に関与する場合、
事前または事後の届出を求める法律
です。
根拠条文(一次情報)
- 外国為替及び外国貿易法 第27条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000228
ここで重要なのが、「対内直接投資」に該当するかどうか。
系統用蓄電池は「外為法の届出対象」になるのか?
結論から言うと、多くのケースで届出対象になります。
対象になりやすい代表例
- 外国法人が日本に子会社(SPC)を設立し、蓄電池事業を行う
- 外国人個人が日本法人の株式を取得し、蓄電池事業に関与する
- 海外投資家が日本国内の蓄電所用地を取得する
これらは、対内直接投資等として
外為法27条の届出対象になる可能性が高いです。
「発電事業者」に当たるかどうかも重要
ここで混乱しやすいのが、
「蓄電池は発電していないのに、発電事業なの?」
という点です。
電気事業法上の位置づけ(一次情報)
- 電気事業法 第2条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000170 - 経済産業省
「電力貯蔵装置(蓄電池)・蓄電所を設置する場合の手引き」
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/
ポイントは、
- 系統に単独で接続する蓄電池 →「蓄電所」
- 売電・放電を行う場合 → 発電事業者に準じた扱い
となり、
外為法 × 電気事業法のダブルチェックが必要になります。
建築物に当たる?コンテナ型蓄電池の注意点
国土交通省 技術的助言(一次情報)
- 「蓄電池を収納する専用コンテナに係る建築基準法の取扱いについて」
(平成25年3月29日 国住指第4846号)
この通知では、
- 地面に自立
- 無人運転
- 必要最小限の空間のみ
の場合、原則「建築物に該当しない」とされています。
⚠️ ただし
複数コンテナの積み重ねや
人が常時立ち入る構造になると、
建築基準法の対象になるため要注意です。
消防法|危険物に該当するか
系統用蓄電池(特にリチウムイオン電池)は、
- 消防法上の「危険物」そのものではない
- ただし電解液の量・仕様により
少量危険物届出・許可が必要になるケースあり
根拠法令(一次情報)
設計段階で電池の種類・容量・構造を確認しないと、
後から大きな修正が必要になることもあります。
外国人・外資が特に注意すべきポイントまとめ
✔ 外為法の「事前届出」が必要か
✔ 発電事業者・蓄電所に該当するか
✔ 土地が市街化調整区域・農地でないか
✔ 建築物扱いになる構造ではないか
✔ 消防法の危険物規制に触れないか
これらはすべて事業初期で整理すべき事項です。
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まとめ|外国人の蓄電池事業は「最初の設計」がすべて
外国人・外資による系統用蓄電池事業は、
日本では十分に可能です。
ただし、
「あとで届出すればいい」
「とりあえず土地を押さえよう」
という進め方は、
外為法・都市計画法・電気事業法で詰むリスクがあります。
不安な段階こそ、
最初に一度、全体像を整理することが最大の近道です。