こんにちは。
千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」など、土地活用に関する申請を専門に行っています。
はじめに:いちばん多い質問「農地転用って、結局いくらかかるの?」
「実家の畑を宅地にしたいけど、費用ってどのくらい?」
「300坪くらいあるけど、坪が広いと高くなる?」
「行政書士の報酬はいくらぐらいが相場?」
「地主と建て主、どっちが払うの?」
こうしたご質問、本当に多いんです。
この記事では、実際にかかる農地転用の費用を“リアルな目安”で解説していきます。
特に、千葉・茨城・埼玉で家を建てたい・駐車場にしたい方向けにまとめています。
まず、農地転用にかかる費用の内訳
農地転用にかかる費用は、大きく分けて次の5つです。
区分 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
① 行政書士報酬 | 許可申請書の作成・図面作成・役所との調整など | 20〜30万円前後 |
② 書類取得費 | 登記簿、公図、案内図、印鑑証明など | 数千円〜1万円前後 |
③ 測量・分筆費用 | 土地家屋調査士への依頼 | 20〜40万円(広さにより変動) |
④ 開発許可や造成関連 | 都市計画法・排水設計など | 5万〜100万円以上(内容により変動) |
⑤ 登記費用 | 地目変更や所有権移転など | 1〜5万円程度 |
つまり、農地転用=行政書士報酬だけでなく、周辺の法務・測量費が加わると考えておきましょう。
行政書士報酬の相場(坪数別目安)
当事務所および他事務所の公開情報をもとにした一般的な目安です。
対象面積 | 報酬の目安(税込) | 備考 |
---|---|---|
〜50坪(約165㎡) | 8〜12万円 | 一般住宅や小規模駐車場向け |
〜100坪(約330㎡) | 12〜18万円 | 分家住宅・太陽光・倉庫など |
〜150坪 | 15〜20万円 | 小規模開発を伴うケースも |
〜200坪 | 18〜25万円 | 配置図や排水図が必要になる場合あり |
〜300坪 | 25〜35万円 | 市街化調整区域・開発許可併用が多い |
※複雑な案件(調整区域、青地除外、接道要件あり)では+10〜20万円かかることもあります。
「誰が払うの?」という疑問に答えます
ここがいちばんモヤモヤするところですよね。
実際、農地転用の費用を「誰が負担するか」はケースによって異なります。
💡パターン①:自分の農地を自分で宅地にする場合
→ 申請者本人が全額負担。
理由:申請者=受益者であり、土地活用をする本人だからです。
(例)親名義の畑を自分の家用に宅地転用する → 子どもが費用負担。
💡パターン②:ハウスメーカーが代理申請する場合
→ 施主(建て主)が実質負担。
ハウスメーカーが行政書士に外注するため、
「農地転用費用」として見積書に組み込まれています。
請求書上はメーカー経由でも、支払い元は施主です。
💡パターン③:土地を貸す(借りる)場合
→ 契約内容で異なるが、原則「転用の利益を受ける側」が負担。
たとえば駐車場経営をするテナントが申請者になる場合、
地主ではなく借主(利用者側)が費用を負担します。
坪数で費用が変わる理由
「なぜ300坪だと高くなるの?」と聞かれることも多いです。
その理由は、図面作成や調整範囲が増えるからです。
具体例:
- 現況写真が10枚→30枚に増える
- 案内図・配置図・排水経路図の範囲が拡大
- 隣接地が多く、同意確認や境界線の記載が増える
- 市街化調整区域では、開発許可(都市計画法第29条)も同時審査
つまり「広い土地ほど申請の資料が複雑」になるため、手間=報酬に反映されます。
都市計画法の開発許可が必要な場合
市街化調整区域内では、農地転用許可だけでなく、都市計画法第29条の開発許可が必要なケースがあります。
例えば…
- 面積1,000㎡(約300坪)を超える造成を行う場合
- 排水設備や道路新設を伴う場合
この場合、農地法と都市計画法を「同時申請」します。
審査は厳しくなりますが、土地全体を一度で開発できるため、長期的には合理的です。
ただし、開発許可の審査手数料や設計士費用(10〜50万円)が追加になります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 行政書士の報酬だけ払えば全部終わりますか?
→ いいえ。
測量士・土地家屋調査士・司法書士の費用が別途発生することが多いです。
ワンストップで行う場合は、行政書士が各専門家と連携して見積りを出します。
Q2. 青地を転用する場合は高くなりますか?
→ はい。
農業振興地域(青地)から除外申出を行う必要があり、
通常の申請より期間・資料が多くなります。
追加費用として+10万円前後を見ておくと安心です。
Q3. 行政書士への報酬はいつ払うの?
→ 多くの事務所では「着手金+許可後の残金払い」が一般的です。
(例)総額20万円 → 着手時10万円、許可後10万円。
※申請却下になった場合は成功報酬が発生しない形を取る事務所もあります。
こんな方は費用を抑えられることもあります
- 境界確定や分筆が済んでいる
- 青地ではなく白地の農地
- 市街化区域内で届出のみ(許可不要)
- ハウスメーカーが農転費用を一部負担してくれる
👉 このような条件が揃うと、10万円台前半〜中盤で完了するケースもあります。
費用を安く抑えるためのコツ
- 早めに測量を済ませておく(後から測量費が重なるのを防ぐ)
- 転用面積を最小限にする(必要な部分だけ申請)
- 複数の土地をまとめて申請しない(1筆ずつ進める方が安い場合も)
- 同一地区内で同様の事例を確認(行政がスムーズなケースを参考に)
まとめ:農地転用の費用は「内容」と「責任者」で決まる
- 50坪〜100坪程度なら 約10〜20万円前後
- 150〜300坪なら 20〜35万円前後
- ただし測量・開発許可・青地除外が入ると+数十万円
そして、費用を払うのは「申請者=土地活用の利益を得る人」です。
最後に
費用の話はどうしても不安になりがちですが、
「想定外の追加費用」が出るのは、ほとんどが“事前調査不足”によるものです。
まずは、
- 農地の場所(青地・白地)
- 面積
- 活用目的(住宅・駐車場・倉庫など)
を整理して、市町村または専門家に相談してみましょう。
不明点を先に潰しておくことで、無駄な費用を防げます。