農地転用・開発許可に強い 千葉県柏市の行政書士

系統用蓄電池を農地に設置するには?|千葉・茨城・埼玉での農地転用手続きを行政書士が解説

こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった、土地活用に関わる手続きを専門に扱っています。

最近とても増えているご相談のひとつが、「農地に系統用蓄電池を設置したい」というものです。
再生可能エネルギーや電力自由化の流れを受け、太陽光発電所に加えて 大規模な蓄電池(系統用蓄電池) を導入したいと考える事業者が増えてきました。

しかし、その設置予定地が農地の場合、避けて通れないのが 農地転用の許可手続き です。
「そもそも農地転用って何?」「許可を取らないとどうなるの?」「千葉・茨城・埼玉だと何が違うの?」と疑問に思われる方も多いと思います。

この記事では、法律の根拠を踏まえつつ、一般の方にもわかりやすく、親しみやすい言葉で解説していきます。


農地転用とは?(定義と法令根拠)

まずは基本の確認からです。

農地転用とは「農地を農地以外の用途にすること」をいいます。
農地法第4条・第5条に明記されており、農地を耕作以外に使う場合には必ず許可または届出が必要です。

たとえば…

  • 住宅用地にする
  • 駐車場にする
  • 資材置場にする
  • そして今回のテーマである「系統用蓄電池を設置する」

これらはすべて「農地転用」にあたります。

無許可で転用すると、農地法第64条に基づき「原状回復命令」や「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性もあります。
つまり、農地に蓄電池を置く=必ず農地転用の手続きが必要 ということです。


系統用蓄電池とは?

系統用蓄電池とは、家庭用の小さな蓄電池とは違い、電力会社の送電網と接続して電力を融通するための大規模バッテリーです。

  • 発電した電気を貯めて、需要に応じて売電する
  • 電力市場の調整に使われる
  • 再エネ導入拡大に欠かせないインフラ

そのため設置には数百㎡〜数千㎡といった広い土地が必要になります。結果として「農地」が候補になるケースが多いのです。


農転が必要なケース・不要なケース

必要なケース

  • 農地に恒常的な設備を設置する(蓄電池・太陽光・倉庫など)
  • コンクリート基礎や造成工事を行う
  • 農地以外の利用目的が明確な場合

不要なケース

  • 一時的に農機具を置くだけ
  • 耕作目的のビニールハウス設置(農業用の場合)
  • 200㎡未満の農業用倉庫敷地(農地法施行規則第29条の特例)

系統用蓄電池は「電力事業用施設」であり、農業用ではないため、必ず農地転用許可が必要になります。


農地の種類と許可の難易度

農地にはランクがあります。

  • 青地(農振地域内農用地区域):原則転用不可。まず「農振除外」が必要。半年〜1年以上かかる。
  • 第1種農地/甲種農地:食料生産力が高い農地。原則許可が下りない。
  • 第2種農地:将来的に市街化する可能性がある農地。条件付きで許可。
  • 第3種農地(市街地の中の農地):宅地化が進んだエリアにある農地。比較的転用しやすい。

千葉・茨城・埼玉で「系統用蓄電池を置きたい」と相談が多いのは、宅地に近い第3種農地や白地の畑です。


千葉・茨城・埼玉で多い事例

千葉県

  • 市街化調整区域が広く、都市計画法34条許可がセットになることが多い
  • 特に北西部(柏・松戸・流山)は調整区域での相談が多い

茨城県

  • 農振除外が必要な「青地」が多く、時間がかかるケースが目立つ
  • 広い農地が多いため、大規模蓄電池設置のニーズが強い

埼玉県

  • 都市計画法と農地法の両方の許可が必要なケースが多い
  • 川越・所沢など都市部は第3種農地が中心で、比較的転用しやすい

手続きの流れ

農地転用の流れは次のとおりです。

  1. 事前調査(農地の種類・都市計画法の区域確認)
  2. 事前相談(農業委員会・都市計画課など)
  3. 申請書作成(農地転用許可申請書+添付図面)
  4. 農業委員会の審査・現地調査
  5. 都道府県または市町村での許可判断
  6. 許可証交付

通常は3〜6か月程度、青地の場合は1年以上かかることもあります。


必要書類(添付書類)

代表的な添付書類は以下です。

  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 公図・位置図・案内図
  • 土地利用計画図(配置図・排水計画図など)
  • 資金計画の証明書(預金残高証明・融資内定書)
  • 隣接地所有者の同意書(必要に応じて)

系統用蓄電池の場合、排水計画や環境影響への配慮が特に重要です。


都市計画法の開発許可との関係

市街化調整区域では、農地法許可だけでは不十分で、都市計画法34条の開発許可が必要になることがあります。
農地法と都市計画法、両方の審査をクリアする必要があるため、専門的な知識が求められます。


費用と期間の目安

  • 期間:3〜6か月(青地の場合は1年以上)
  • 費用
    • 農地転用許可申請:数十万円〜
    • 測量・分筆登記:40万円〜80万円
    • 都市計画法の開発許可:50万円〜100万円以上

規模や自治体の要件により変動します。


よくある質問(Q&A)

Q1. 農地を借りても蓄電池は設置できますか?
→ できますが、借主が農地転用許可を申請する必要があります(農地法5条)。

Q2. 許可が下りなかった場合は?
→ 青地なら「農振除外」からやり直し。別の白地を探す方が早いこともあります。

Q3. 農地転用と同時に都市計画法の許可も取れますか?
→ 並行して申請するケースが多いですが、自治体によっては順序指定があります。


注意点・失敗事例

  • 青地を選んでしまい、手続きに2年以上かかった
  • 測量を怠り、隣地と境界トラブルに発展
  • 排水計画が不十分で、農業委員会から補正を求められた

蓄電池は重量物であり、雨水排水や地盤強化も審査の対象になります。


まとめ

  • 系統用蓄電池を農地に設置するには、農地転用許可が必須
  • 青地や第1種農地は難しく、白地や第3種農地が現実的。
  • 千葉は調整区域、茨城は農振除外、埼玉は都市計画法との絡みが多い。
  • 許可には数か月〜1年以上、費用は数十万円〜が必要。

まずは市町村の農業委員会に相談してみましょう。
ただ、系統用蓄電池のような大規模施設は自分での申請が非常に難しいのが実情です。
その場合は、農地転用・開発許可に詳しい行政書士に依頼することをおすすめします。

参考文書

農地法(e-Gov法令検索
都市計画法(e-Gov法令検索
国発行資料「農地転用三段構えの考え方

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