農地転用・開発許可に強い 千葉県柏市の行政書士

市街化調整区域での系統用蓄電池設置|開発許可・農地転用・雨水計画・補助金まで行政書士が解説

こんにちは。グリー行政書士事務所 代表の酒井です。
再生可能エネルギー事業の拡大にともない、系統用蓄電池(BESS)のご相談が急増しています。なかでもお問い合わせが多いのが、市街化調整区域(以下、調整区域)に設置したいケース。

調整区域は「原則として開発を抑制する区域」のため、許認可の設計次第で工事が止まることも珍しくありません。この記事では、調整区域におけるBESS設置をテーマに、手順・判断ポイント・必要書類・落とし穴を、実務の流れに沿って詳しく解説します。

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結論

  • 調整区域では都市計画法の開発許可が原則必要。ただし、電気事業者の系統安定化設備等として「適用除外」となる可能性があるため、早期の事前協議が最重要。
  • 農地を使う場合は農地転用(4・5条)、農振地区域は農振除外が追加で必要になり、工程に強く影響。
  • 雨水計画(多くの自治体で1,000㎡超が目安)消防(危険物該当の有無)建築(コンテナが建築物扱いとなる場合の確認)景観・騒音など、横断管理が不可欠。
  • 許認可の順序設計を誤ると工事ストップ補助金スケジュールへの影響が発生。初動の「法令・要綱の棚卸し」と「事前協議の計画立て」が鍵。

この記事が役立つ方

  • これから発電事業(容量市場・需給調整市場を見据えたBESS運用)を始めたい方
  • 太陽光・風力と蓄電池の併設を検討しているデベロッパー・事業者
  • 調整区域での設置可能性開発許可の要否で判断に迷っている方
  • 設置に必要な許認可・届出を漏れなく進めたい方

全体像:調整区域での系統用蓄電池設置フロー

  1. 事業目的の定義(系統安定化/市場参加/併設の有無 等)
  2. 候補地の法令・要綱スクリーニング(都市計画・農地・森林・景観・雨水 等)
  3. 系統接続の方向性整理(接続申込み・技術条件)
  4. 開発許可の要否判定と“適用除外”の可能性確認(事前協議)
  5. 農地手続きの要否判定(転用/農振除外)
  6. 設計条件の確定(配置・離隔・防火防爆・騒音・雨水・造成)
  7. 必要な許可・届出の順序設計と申請
  8. 工事・据付・検査
  9. 系統連系・運用開始(市場参加含む)

ポイントは「4〜7」の判定〜順序設計。ここが噛み合わないと後戻りや工事停止を招きます。


1. 事業計画の立案(なぜ・どの枠組みで置くのか)

  • 系統安定化(周波数調整・出力平準化)/容量市場・需給調整市場への参加
  • 再エネ発電所とのセット(同一敷地・近接/別案件)
  • 自家消費・ピークシフト(事業所向け)

目的=法的位置付けに影響。電気事業法上の“発電事業者設備”の理解が、「開発許可の適用除外」議論の前提になります。


2. 候補地スクリーニング(調整区域の“難所”を早期に洗い出す)

  • 都市計画:調整区域/用途地域無し、34条運用の有無(条例・要綱に基準があることも)
  • 農地:地目・青地/白地農振の該当有無(除外の難易度)
  • 森林・景観・自然:保全・風致・景観計画の規制
  • インフラ・環境雨水対策(1,000㎡超が一つの目安)、騒音・振動、交通導線
  • 埋蔵文化財:包蔵地該当なら教育委員会への届出(必要性の確認のみ。押し出しは最小限)

早い段階で役所公式図書・台帳・要綱を確認し、**「不可要因」**がないかをチェックします。


3. 系統接続(“適用除外”の論点と密接)

  • 電力会社への接続申込み → 技術条件の審査 → 連系契約の見通し
  • 系統直結・市場参加が明確な設備は、「発電事業者の設備」としての位置付けを説明しやすくなります。
  • この位置付けは、開発許可の“適用除外”の検討に直結。
    • ※ただし自治体解釈に差があるため、事前協議で確認が不可欠。

4. 都市計画法:開発許可の要否と“適用除外”の道筋(最重要)

4-1. 原則

  • 調整区域では開発許可が原則必要。規模・施設性状・造成の有無等で審査対象に。
  • 第一種特定工作物(危険物の貯蔵・処理施設 等)に該当し得るかの見立ても必要。

4-2. 適用除外(許可不要)となり得る典型

  • 電気事業法上の発電事業者が設置する、系統安定化に資する設備としての公用性・公益性の説明が立つ場合。
  • 系統直結市場参加(容量市場・需給調整市場)を前提とする運用設計であること。
  • ただし、自治体ごとの運用差が非常に大きく、開発審査会付議や**34条14号(条例運用)**により、追加の技術・環境条件を求められることがあります。

4-3. 実務の手順(推奨)

  1. 法令・要綱の棚卸しメモを作る(施設の性状、規模、造成有無、消防・建築含む)
  2. 都市計画課と事前協議
    • 施設の目的と運用(系統・市場)
    • 適用除外の可否の考え方
    • 必要に応じて開発審査会の要否
  3. 補足技術資料の整備(離隔、安全、環境配慮、雨水)
  4. 最短経路の合意形成(許可取得/適用除外の確認)

“適用除外を主張しながらも、許可ルートに切り替え可能な準備”を同時進行で行うのが安心です。


5. 農地法:転用/農振除外の壁

  • 農地を使う場合
    • 農地転用許可(4条・5条)が基本。
    • 農振地区域の場合は農振除外から着手(審査基準が厳格)。
  • 青地(生産性高い農地)は難易度が高く、代替地の検討立地見直しが合理的なことも。
  • 地元の農業委員会・県の基準を早期に確認。転用の公益性・必要性の説明ロジックを用意しましょう。

6. 設計条件の確定(“工事ストップ”を防ぐ設計)

6-1. 配置・離隔・安全

  • コンテナ配置:住宅・道路・水域からの離隔、出入口、メンテナンス動線
  • 避雷・接地:落雷対策の設計
  • 防火・防爆:バッテリータイプ・設備構成に応じた仕様
  • 漏液対策:二次防止設備・防液堤の要否

6-2. 騒音・振動・景観

  • 低騒音ファン防音壁夜間停止などの運用条件
  • 色彩・外構:景観条例への配慮(緑地帯・植栽・外装色)

6-3. 雨水・造成

  • 多くの自治体で1,000㎡超の開発に雨水対策(貯留・浸透・透水性舗装 等)を要請。
  • 計画降雨条件・流出係数は要綱準拠で技術者(設計事務所)と連携
  • 盛土規制法:一定規模以上の造成なら対象。豪雨時の安全下流負担を軽減する計画が求められます。

“行政が求める形式で”技術資料を整えることが、審査の近道です(図面・計算書・根拠条項の紐付け)。


7. 許可・届出の“順序設計”と申請実務

順序を誤ると、後戻りや工事ストップの原因に。代表例と提出先の例を挙げます。

  • (A)都市計画法:開発許可申請/適用除外の確認(都市計画課、必要時は開発審査会)
  • (B)農地法:転用許可(農業委員会→知事)、農振除外(所管部署)
  • (C)建築基準法建築物扱いの場合の建築確認(建築指導課・指定確認検査機関)
  • (D)消防法:危険物施設設置許可・使用開始届(消防本部)
  • (E)環境・景観:騒音振動届、景観届出、(規模により)環境影響評価
  • (F)インフラ:道路占用・河川占用(道路管理者・河川管理者)
  • (G)教育委員会:埋蔵文化財包蔵地の場合の届出(該当時のみ)
  • (H)電気事業法・再エネ特措法:市場参加・認定変更・電気主任技術者の選任 等

併願・並行の可否、先行審査が必要な手続きを可視化して、ガントチャートで管理するのが定石です。

8. 工事・据付・検査・連系(着工前の“最終チェック”)

  • 全ての許可・届出が整っているかのチェックリスト運用(抜け漏れ防止)
  • 施工計画:重機導線・安全管理・近隣配慮(工事時間・苦情窓口)
  • 防火・防爆・漏液の実装確認
  • 連系試験 → 運用開始届 → 市場参加手続き

よくある“工事ストップ”の引き金(回避のコツ)

  • 「発電事業だから開発許可は不要」と誤解 → 適用除外のロジックと証拠資料が不足
  • 農振・青地を軽視 → 除外・転用の難易度を事前に織り込まず計画が破綻
  • 雨水対策の不足 → 計算条件・施設容量の根拠不足で再提出
  • 消防・建築の見落とし → 危険物扱い・建築物扱いの判断遅れ
  • 住民説明資料の不備 → 法令根拠・安全対策・景観配慮の説明不足

当事務所では住民説明会の資料作成代行まで対応します(※住民との直接交渉・合意形成の代理は行いません)。


必要書類チェックリスト(例)

  • 位置図・案内図・公図・地積測量図
  • 配置図(離隔・導線・外構・緑地)
  • 構造図(基礎・防液・防火防爆)
  • 電気系統図(高圧・保護装置の概略)
  • 雨水計算書・施設設計図(貯留・浸透)
  • 騒音・振動配慮計画
  • 交通安全・搬入計画
  • 維持管理計画(点検・異常時対応)
  • 法令適合一覧(条文・要綱・提出先と紐付け)
  • (農地)転用関係一式/(農振)除外書類
  • (該当時)埋蔵文化財届出書

FAQ(よくある質問)

Q. 調整区域でも、開発許可なしで設置できることはありますか?
A. “適用除外”の考え方が成り立つ場合は可能性があります。ただし自治体判断の要素が大きく、事前協議での裏取りが必須です。

Q. コンテナ型BESSは建築物ですか?
A. 扱いが分かれるため、事前に建築担当部局へ照会し、根拠と併せて方針を確定するのが安全です。

Q. 危険物扱いになりますか?
A. バッテリー種別・容量・構成によります。消防との事前協議で、防火・防爆・消火の設計要件を早めに固めます。

Q. 雨水計画は必須ですか?
A. 敷地規模(多くは1,000㎡超)や造成有無で求められることが一般的です。要綱準拠の計算・設計が必要です。

Q. 住民対応はしてもらえますか?
A. 住民説明会の資料作成代行まで承ります。直接の交渉・合意形成の代理は行っておりません。


当事務所のサポート範囲(調整区域に強み)

  • 事前調査(法令・要綱の棚卸し)
  • 都市計画課・関連部局との事前協議(同行・代理)
  • 開発許可・適用除外ルートの設計と申請書作成
  • 農地転用・農振除外の申請代行
  • 雨水・騒音・景観等の添付資料の整備(設計士連携)
  • 消防・建築・インフラ(道路・河川)各届出の整理
  • 住民説明会資料の作成代行
  • 補助金と許認可の並走設計(スケジュール連携)

当事務所では住民説明会の資料作成代行まで対応します(※住民との直接交渉・合意形成の代理は行いません)。


まずはご相談ください

  • この調整区域の土地で本当に置けるのか?
  • 開発許可の適用除外は見込めるのか?
  • 農地・雨水・消防・建築のどこから着手すべき?

初期の判断が、その後のスケジュールとコストを大きく左右します。
早めの事前調査と事前協議で、最短ルートを一緒に設計しましょう。

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