こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用に関する手続きを専門に扱っています。
「親の農地に家を建てたい」
「相続した農地を売りたい」
「畑を駐車場にしたい」
こうした時に必ず必要になるのが 農地法第5条(農転5条)の手続き。
そして多くの方が最も気になるのが――
👉 農転5条の申請に必要な書類は何か?
今日は、農転5条の必要書類を徹底的に整理 し、さらに「取得方法」「費用」「よくある失敗例」「千葉・茨城・埼玉の事例」まで詳しく解説します。
そもそも農転5条とは?
農地法第5条は、農地を他人に売ったり貸したりして、その人が農地以外に利用する場合に必要な許可 を定めた条文です。
典型的なケース:
- 農地を売却して、買主が住宅を建てる
- 農地を貸して、借主が駐車場にする
- 親が子に農地を貸して、子が家を建てる(使用貸借)
👉 親子間・無償でも例外なく必要。
本記事の参考条文:農地法(e-Gov 法令検索)
農転5条に必要な書類一覧
以下は基本的に全国共通ですが、自治体によって細かく異なります。
1. 申請書(農地法第5条許可申請書)
- 様式は各市町村・県のホームページや窓口で入手
- 申請人・土地の所在・面積・転用目的を記載
2. 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 法務局で取得(1通600円)
- 所有者・抵当権の有無を確認するために必要
3. 公図(地図)
- 法務局で取得(1通450円)
- 土地の位置と地番を特定
4. 案内図・位置図
- 都市計画図や住宅地図を利用
- Googleマップでも可だが、自治体によって縮尺指定あり
5. 現況写真
- 転用予定地の現状(農地であることが分かる写真)
6. 契約関係書類
- 売買契約書・賃貸借契約書・使用貸借契約書
👉 親子間でも必要。口約束では不可。
7. 資金計画書
- 融資内定通知書や通帳コピー
- 転用目的を実行する資金力があるかを証明
8. 建築計画概要書
- 建物を建てる場合(住宅・倉庫など)
- 建築士が作成することが多い
9. 排水計画書
- 駐車場・宅地造成などでは必須
- 雨水が隣接農地に悪影響を与えないことを示す
10. 隣接地所有者の確認資料(必要に応じて)
- 隣地との境界が曖昧な場合に求められる
👉 これらが基本セットですが、自治体によって「追加資料を求められる」こともあります。
書類の取得先まとめ(表)
書類 | 取得先 | 費用目安 |
---|---|---|
登記事項証明書 | 法務局 | 600円/通 |
公図 | 法務局 | 450円/通 |
印鑑証明書・住民票 | 市町村役場 | 300円前後 |
案内図 | 市町村HP・Googleマップ | 無料〜数百円 |
建築計画概要書 | 建築士 | 数万円(設計費用の一部) |
排水計画書 | 土木業者・設計士 | 数万円〜 |
よくある失敗例
- 契約書を省略 → 口約束では受理されず補正
- 資金計画が不十分 → 融資が決まっていないと不許可
- 写真が不鮮明 → 農業委員会から再提出指示
- 添付書類不足 → 翌月回しになりスケジュールが大幅遅延
👉 「補正」になると1か月単位で遅れるため、着工予定が狂いやすいです。
農転5条の費用(書類取得以外も含めて)
- 書類取得費用:数千円
- 行政書士報酬:20〜50万円
- 測量費用(境界不明の場合):30〜80万円
- 地目変更登記:1〜2万円+司法書士報酬
👉 合計で 30〜100万円超 が現実的。
千葉・茨城・埼玉での実例
- 千葉県松戸市:親の農地を子に貸し住宅建築 → 書類は基本のみ、費用約35万円
- 茨城県取手市:相続農地を駐車場に → 測量追加、費用約80万円
- 埼玉県春日部市:法人が倉庫建設 → 開発許可も必要で150万円超
👉 地域差が大きいのは「調整区域かどうか」「測量が必要かどうか」。
まとめ
- 農転5条には必ず多くの添付書類が必要
- 契約書・資金計画・排水計画は抜けやすいポイント
- 書類不足は補正扱いで1か月遅延リスク
- 自力で集められるのは登記簿・公図・住民票程度
- 申請書作成や測量は専門家に任せるのが安全