こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用の手続きを専門に扱っています。
「親の農地に家を建てたいんです」
実は、千葉・茨城・埼玉で本当に多いご相談です。
でもいざ調べると、必ず出てくるのが 「農転5条」。
「親子間で貸すだけなのに、どうして手続きが必要なの?」
「費用はどれくらい?自分でやれば安くなる?」
今日はそんな疑問にお答えし、費用の内訳と、自分でできる部分/専門家に任せる部分 を整理して解説します。
そもそも親子間でも農転5条が必要?
ポイントは「使用貸借(無償で貸す)」です。
親の農地を子が使い、住宅を建てる場合、所有権移転ではなく 「貸す」関係 が生じます。
👉 つまり、親子間でも 農地法5条の許可 が必要なのです。
「家族間だから大丈夫でしょ?」と思って手続きを省略すると、
- 建築確認が下りない
- 登記や融資ができない
- 最悪の場合、原状回復命令
というリスクがあります。
農転5条の費用、どれくらいかかる?
結論からいうと、30〜80万円前後 が多いです。
内訳を見てみましょう。
費用の内訳
- 登記事項証明書、公図、印鑑証明書など:数千円
- 確定測量(境界があいまいな場合):30〜60万円
- 行政書士報酬:20〜40万円
- 地目変更登記(宅地に変更):1〜2万円+司法書士報酬
👉 境界がはっきりしていて測量不要なら、費用は大幅に抑えられます。
自分でできること
✅ 登記事項証明書・公図の取得
法務局に行けば誰でも取得可能。数百円〜600円程度。
✅ 印鑑証明書・住民票の取得
市役所で数百円。
✅ 案内図の準備
Googleマップや役所の都市計画図をコピーして位置を示すだけでOKな場合もあります。
👉 ここまでは自力で十分です。
専門家に任せるべきこと
✅ 申請書の作成
農転5条の申請書はシンプルに見えて、資金計画・使用貸借の契約関係・排水計画 の書き方で補正がかかりやすいです。
✅ 境界確定・測量
「親の土地だから大丈夫」と思いがちですが、建築するには境界が明確でなければなりません。
測量と隣地立会いは土地家屋調査士の仕事なので、自力では不可能です。
✅ 使用貸借契約書の作成
口約束ではNG。役所に提出するには、親子間でも契約書の形で残す必要 があります。
✅ 都市計画法の許可調整
調整区域に家を建てる場合は、農転許可だけでなく 都市計画法34条の許可 が絡むため、専門家の調整力が必須です。
実際の事例
千葉県柏市
親の農地を使用貸借で子が住宅建築。境界杭が残っていたため測量不要。
👉 総費用:約35万円(行政書士報酬+登記費用)。
茨城県取手市
相続した農地を住宅地に。境界不明で確定測量が必要。
👉 総費用:約80万円(測量が大半)。
埼玉県春日部市
親の農地に二世帯住宅。調整区域で都市計画法の許可も必要。
👉 総費用:約120万円(農転+開発許可)。
まとめ
- 親の農地に家を建てる場合でも、農転5条の許可が必要(使用貸借にあたるため)。
- 費用は30〜80万円が目安。境界測量や開発許可があるとさらに高額に。
- 自分でできるのは「登記簿・公図・住民票・案内図」程度。
- 申請書、測量、契約書、都市計画法調整は専門家に任せるのが確実。
「親子間だから大丈夫」と思って手続きを省略すると、大きなトラブルにつながります。
まずは農業委員会に相談し、自分でできる部分を整理した上で、専門家に相談するのがおすすめです。