こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用に関する手続きを専門に扱っています。
「親の畑に家を建てたいんです」
「空いている田んぼを駐車場にしたい」
「農業をやめた土地を売りたい」
実は、千葉・茨城・埼玉ではこうしたご相談、本当に多いんです。
でも、いざ調べてみると……
- どんな書類を集めればいいのか分からない
- 期間はどれくらいかかるの?
- 費用はどれくらい見込めばいいの?
こうした疑問が次々に出てきますよね。
そこで今日は、農地転用の手続きの流れと必要書類 を、一般の方にも分かりやすく、実際の相談事例を交えながら解説していきます。
農地転用って何?
まず基本から。
農地法第4条・第5条では、「農地を農地以外のものにすること」 を「転用」と定義しています。
つまり、田んぼや畑を――
- 家を建てる宅地にする
- 駐車場にする
- 倉庫や店舗用地にする
- 太陽光発電の用地にする
こうした行為はすべて「農地転用」です。
逆に、庭の一角で家庭菜園を楽しむ程度であれば転用にはあたりません。
農地転用が必要なケース・不要なケース
必要なケース
- 親の農地にマイホームを建てたい
- 農地を法人に貸して建物を建てる
- 畑を月極駐車場にしたい
不要なケース
- 軽トラックを農作業のために一時的に停める
- 田から畑への変更(農地のままなので不要)
- 庭先の家庭菜園(宅地の利用の一部として扱われる)
千葉・茨城・埼玉でよくある相談事例
千葉県
「柏市の実家の田んぼを宅地にして、二世帯住宅を建てたい」
→ 農地法5条許可が必要。調整区域なら都市計画法34条許可も並行して検討。
茨城県
「取手市で農業をやめた畑を駐車場にしたい」
→ アスファルト舗装をすると明確に転用になるため、届出や許可が必要。
埼玉県
「春日部市で農地を売却したい」
→ 農地法5条の許可が必要。買主が宅地利用するなら、その目的に応じた転用手続きも同時進行。
手続きの流れ
農地転用は、ざっくり言うと「準備」→「申請」→「審査」→「許可」という流れです。
詳しく見ていきましょう。
1. 事前準備
- 権利関係を整理(相続登記や抵当権の有無)
- 土地調査(青地か白地か、第1種~第3種農地か)
- 役所での事前相談(市町村の農業委員会にて)
ここを飛ばすと後から「そもそも申請できない土地だった」というケースもあります。
2. 申請書の作成
申請書は都道府県や市町村で定められた様式を使用。
必要な記載事項には、
- 申請者情報
- 土地の地番・地目・面積
- 転用の目的(住宅・駐車場・倉庫など)
- 資金計画
などがあります。
3. 農業委員会への提出
- 添付書類を揃えて提出
- 農業委員による現地確認
- 必要に応じて補正(修正)の指示
4. 都道府県での審査
農業委員会の審議を経て、都道府県に送付されます。
ここで再度、書類審査や現地調査が行われます。
5. 許可証の交付
問題がなければ知事(または権限移譲を受けた市町村長)から許可証が交付されます。
この許可証が出てはじめて、建築確認や登記変更に進めるのです。
必要書類の一覧
申請時に必要となる主な書類は以下の通りです。
- 登記事項証明書(法務局で取得、3か月以内)
- 公図(コピーで足りる場合もあり)
- 案内図・位置図(2500分の1都市計画図が望ましい)
- 資金計画を示す資料(通帳コピー・融資内定通知など)
- 建築計画概要書(建物の種類・面積・用途)
- 排水計画書(周辺農地への影響を防ぐ説明が必要)
- 隣接地の所有者情報(登記簿で確認)
自治体によって細かく追加資料を求められることもあります。
どれくらい時間とお金がかかる?
期間の目安
- 市街化区域(届出のみ):1か月前後
- 調整区域・青地:半年〜1年程度
特に「農振除外(青地)」を含む場合は、最短でも半年以上かかることを覚悟してください。
費用の目安
- 申請書類の収集・測量費用などで数十万円単位
- 都市計画法の開発許可が絡むとさらに追加費用
- 行政書士へ依頼する場合は報酬(数十万円前後)
よくある失敗例
- 「青地でもすぐ家が建てられる」と思っていた → 実際は農振除外に半年以上かかる
- 資金計画の裏付けがなく、申請が受理されなかった
- 添付書類の不足で申請が翌月回しにされてしまった
- 測量を怠って隣地との境界トラブルになった
Q&A
Q. 親の畑に家を建てたいのですが、すぐできますか?
→ 調整区域の場合、農地法許可+都市計画法34条許可が必要になることが多く、すぐには建てられません。
Q. 駐車場にするだけなら届出で大丈夫ですか?
→ 舗装工事をする場合は転用に該当します。必ず許可・届出を経てください。
Q. 書類は自分で集められますか?
→ 登記簿や公図は可能ですが、測量や資金計画書類は専門家の協力が必要な場合が多いです。
まとめ
農地転用は――
- 事前準備
- 申請書作成
- 農業委員会への提出
- 都道府県の審査
- 許可証交付
という流れで進みます。
一見シンプルに見えますが、実際には権利関係や資金計画、隣地との調整など多くのハードルがあります。
まずは市町村の農業委員会で相談してみましょう。
そして「自分でやるのは難しそう」と感じたら、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。