こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用のご相談を専門にお受けしています。
「農転(農地転用)の5条届出って何ですか?」
「許可と届出ってどう違うんですか?」
こうしたご質問をいただくことが多いので、今回は 農地法5条の届出 について、分かりやすく整理してみます。
農地法5条とは?
まず、農地法には大きく2つのパターンがあります。
- 第4条:自分の農地を自分で宅地や駐車場にする場合
- 第5条:農地を売ったり貸したりして、別の人が宅地や駐車場にする場合
このうち「第5条」が出てくるのは、農地の権利移転が伴うときです。
たとえば…
- 農地を購入して家を建てる
- 農地を借りて太陽光発電所を設置する
- 農地を貸して駐車場にする
こうしたケースでは、農地法5条の手続きが必要になります。
許可と届出の違い
「5条=必ず許可が必要」と思われがちですが、実はそうではありません。
- 市街化区域内の農地 → 届出でOK
- 市街化調整区域やその他の地域 → 許可が必要
つまり「どの区域にある農地か」によって、手続きが変わるのです。
👉 ポイントは、まず その土地が市街化区域かどうかを確認すること。
市役所の都市計画課や農業委員会で調べられます。
5条許可と5条届出の違いを比較
農地法5条は「権利移転を伴う農地転用」のときに必要ですが、市街化区域かどうかで「許可」と「届出」に分かれます。
分かりやすいように表にまとめました。
項目 | 5条届出(市街化区域内) | 5条許可(調整区域・その他) |
---|---|---|
対象区域 | 市街化区域 | 市街化調整区域・非線引き区域など |
手続き内容 | 届出のみ(形式確認) | 許可申請(内容審査あり) |
審査の有無 | 基本的に受理される | 都道府県知事や市町村長が審査 |
必要期間 | 1〜2か月程度 | 3〜6か月、場合によっては1年以上 |
必要書類 | 申請書・登記事項証明書・公図・案内図・土地利用計画図など | 届出と同様だが、より詳細な計画書や関係者の同意書が必要なことも |
費用の目安 | 行政書士報酬などで数十万円程度 | 測量や分筆、開発許可を含めると数百万円規模になることも |
メリット | 手続きが簡単・スピーディ | 調整区域でも建築が可能になる |
デメリット | 市街化区域でしか使えない | 時間も費用もかかり、ハードルが高い |
👉 つまり、同じ「5条」でも、対象区域によって手続きの重さが全く違うのです。
5条届出の流れ
市街化区域内であれば、比較的シンプルに進みます。
- 事前相談
市役所や農業委員会で「ここを宅地にしたい」と相談。 - 必要書類を準備
登記事項証明書、公図、案内図、土地利用計画図など。 - 届出書の提出
農業委員会に提出。締切日を過ぎると翌月扱いになるので要注意。 - 受理・確認
基本的に内容に問題がなければ、そのまま受理されます。
👉 許可が不要なので、スピード感をもって進められるのが届出のメリットです。
必要書類の一例
届出でも、次のような書類が必要です。
- 申請(届出)書
- 登記事項証明書(3か月以内のもの)
- 公図(申請地を赤枠で囲む)
- 案内図・位置図(都市計画図などで申請地を明示)
- 土地利用計画図(建物配置や排水計画を記入)
- 資金計画書(預金残高証明やローンの事前審査結果)
👉 許可申請に比べると審査は軽いですが、書類一式が揃っていないと受理されません。
千葉・茨城・埼玉でよくあるご相談
- 柏市やつくば市の市街化区域 → 届出で住宅建築が可能
- 守谷市や取手市の調整区域 → 許可申請が必要(届出では不可)
- 青地(農振地域) → そもそも農振除外から始めないと進められない
「届出で済むと思っていたら、実は許可が必要だった」というケースも多いので、最初の確認が大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 親の農地を買い取って家を建てたい場合は5条届出ですか?
→ 市街化区域内なら届出でOK。調整区域なら許可が必要です。
Q2. 届出と許可のどちらが簡単?
→ 届出の方が簡単でスピーディ。ただし、対象地が市街化区域であることが条件です。
Q3. 書類が1枚でも足りないとどうなりますか?
→ 補正となり、翌月に回されてしまうことがあります。工事スケジュールに影響するので注意してください。
まとめ
- 農地法5条は、農地を売ったり貸したりして転用する場合に必要
- 市街化区域内なら届出でOK、調整区域は許可が必要
- 届出でも必要書類はしっかり揃える必要あり
- 最初に「区域の確認」をしておくとスムーズ
農地の場所や状況によって手続きが大きく変わります。
まずは市役所で確認し、必要なら行政書士に相談してみてください。