こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。
補助金サポートを中心とした行政書士事務所を運営しています。
これを見ている方は、
- 事業再構築補助金が無事に入金され、事業化状況報告をしなければならない
- 事業化状況報告の準びを進めてみたものの、やり方が分からない
- 事業再構築補助金の事務局から「事業化状況報告」を催促されてしまった
という方がほとんどではないでしょうか。
中には、「事業再構築補助金でスタートした事業の収益は、国に納付(収益納付)しなければいけないと聞いたけど本当なのか?」と心配になっている方も多いのではないでしょうか。
事業再構築補助金は、採択されてからが本当に長いですよね。
交付申請、実績報告、ようやく入金がされたと思ったら6年間の事業化状況報告…そして、収益が上がれば国に納付。
私も、たくさんの事業者さんをサポートしてきましたが皆さんとても大変な思いをされておられます。
あなたも同じような思いをしているのではないでしょうか。
今回は、そんな方向けに、「【事業再構築補助金】事業化状況報告の書き方は?ログインから申請完了までの手順。収益納付にならない方法」のついて分かりやすく解説していこうと思います。
この記事は、事業再構築補助金等の補助金サポートに強い行政書士の私が書いています。
事業再構築補助金の事業化状況報告の代行をご希望の方は、下記ページからご連絡ください。
具体的な説明に入る前に、事業化状況とは何かについてご説明します
事業化状況報告とは、補助事業終了年度を初回として、以降5年間(合計6回)、1年間の事業化の状況や付加価値額の増加状況等について、事業化状況・知的財産権報告書により報告するとともに、本事業に関係する調査に協力をしなければなりません。事業化状況等の報告が速やかに行われない場合には、交付決定を取り消し、補助金の返還等を求めます。
報告する内容は下記のとおりです。
・直近1年間の補助事業に係る事業化並びに付加価値額状況
・補助事業に係る発明、考案等に関する特許権などの知的財産権を出願若しくは取得した場合又はそれを譲渡し、若しくは実施権を設定した場合には、当該知的財産権の取得状況なお、補助事業によって収益が生じたことが確認されたときは、受領した補助金額を上限として収益納付をしなければなりません。
事業再構築補助金の手引き・交付規定より
以上のように、合計6回(6年間)報告する義務があります。
それを行わない場合は、補助金の返金が求められます。
また、一定の利益が出た場合は補助金額を上限として収益納付しなければなりません。
報告内容や期限など、注意しておかないと大変な事態になる可能性があるのでお気をつけください。
【事業再構築補助金】事業化状況報告の書き方
早速、事業再構築補助金の事業化状況報告の書き方についてご説明します。
1:ログイン
まずは、gビズIDを使ってログインします。
事業再構築補助金の事業化状況報告サイトのログインは、こちらになります。
これまでに採択後の手続き(交付申請・実績報告)のログインURLとは異なりますので注意してください。
手順は、以下の通りです。
- 事業化状況報告のサイトをクリック
- gビズIDとパスワードを入力
- アプリ承認orワンタイムパスワードでログイン
2:「事業化状況報告・知的財産権報告書」を登録
ログインをすると、「メインメニュー→報告書・申請書→事業化状況報告・知的財産権報告書」とあるのでクリックしてください。
クリックすると、システムに登録されている「補助事業完了(予定)月」及び「決算年月」を表示していますので、それを基に、現在の補助事業の進行状況について当てはまるものを選択してください。
選択肢は、以下の通りです。
- 補助事業は完了し、決算年月も上記の通り。
- 決算年月は上記のとおりであるが、補助事業は完了していない(補助事業実施期間内で完了予定である。)
- 補助事業終了予定月は上記決算年月をまたぐが、補助事業実施期間内で完了予定である。
- 補助事業を完了期限内に完了できない状況である。
- その他の場合
これは、各々の状況に合わせて選択してください。①を選択した場合は事業化状況・知的財産権報告書に進みます。②~⑥を選択した場合はメインメニューに戻ります。(①以外の方は、現時点での事業化状況報告は不要)
◾️「事業化状況報告」を登録
続いて、「事業化状況報告」のシステム登録です。
システム上、①事業化状況報告の直下に「未入力」と表示されている項目をクリックすると、次の入力画面に移動し、以下の2つに質問に入ります。
- 補助事業の実施成果について、補助事業終了後から報告対象年度末までの期間における事業化の有無
- 知的財産権等の譲渡又は実施権の設定の有無
*事業化とは、本事業で開発した製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行った段階で、事業化となります。(設備投資のみの場合は生産開始した時点)
【事業化有り】の場合、下記のどれか1つを選択します。
- 第1段階:製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行っている。
- 第2段階:注文(契約)が取れている。
- 第3段階:製品が1つ以上販売されている、又はサービスが1回以上提供されている。
- 第4段階:継続的に販売・提供実績はあるが利益は上がっていない。
- 第5段階:継続的に販売・提供実績があり利益が上がっている。
◾️「知的財産権等」を登録
こちらは、ある場合のみで結構です。
ある場合も、さほど作業は複雑ではないため割愛しますが、表示に従って「特許権の出願日」や「出願番号」を入力してください。
◾️「現在の取組状況」を登録
次のステップは「現在の取り組み状況」の入力です。
手順は、以下の通りです
- 事業化状況等の実態把握調査票の「現在の状況」の「未入力」をクリック。
- 「補助事業完了年度末 の開始年月」を確認・入力。
- 補助事業完了 年度末と現在における会社全体の 「資本金」、「従業員数」、「総売上高」 、「 経常利益および付加価値額の算出 」を入力。
これは、決算書を基に入力を行ってください。
*従業員数は、役員は従業員数に含めず入力ください。ただし、労働者名簿等で兼務役員であることがわかる場合は含めることができます。
*決算書も事務局に提出します。
◾️「今後の事業の見通し」を登録
次に、報告対象期間における 「 成果・事業化の見通し」を入力します。事業化の有無にかかわらず、必ず入力してください。
<最近の取り組み状況、成果、事業化の見通し>を入力
最初に、この枠が表示されると思います。あまり深く考えずにありのままを完結に書いてください。
例えば、「無事、事業化しており直近の決算期間では、約〇〇円の売上が上がりました。補助事業の△△専用のHPを活用して全国各地からのお問い合わせも増えています」など。
これくらい簡潔で問題ありません。
<補助事業にかかる諸経費>を入力
ここでは、補助事業開始から補助事業終了年度末までに係った「総事業費(税込み)」及び「自己負担額(税込)」を入力します。
※ 実績報告書(様式第6)にて計上された科目のみが自己負担額の対象となります。
◾️「事業化に関する状況について」を登録
ここで入力するのは、「認定支援機関からの支援状況」についてです。
認定支援機関とは、事業再構築補助金を応募するにあたり登録した認定支援機関のことを指します。金融機関や商工会、中小企業診断士や会計士の方であることが多いです。
入力内容は、実際の関与に沿って入力すれば問題ありません。万が一、既に関与がない場合はその旨を記載すれば大丈夫です。
◾️「製品等情報」を登録
次に、「製品等情報」に移ります。
事業化状況等の実態把握調査票「製品等情報」の「未入力」をクリックし、「製品等の追加」をクリックしてください。
次のページでは、製品、商品、サービスごとに「製品等情報登録」と「原価算出表」を入力します。
商品が、1つしかない場合は1つのみ。複数ある場合は各々登録してください。
製品等情報として
- 「製品、商品、サービスの名称」
- 「販売金額(売上額)」
- 「販売数量(売上数量)」
- 「原価算出表」
等を入力します。
*提出する損益決算書等を基に算出してください。
<原価算出表>を入力
まずは、原価報告書等を作成されていない場合は「原価報告書等の作成無し」のチェックボックスにチェックを入れてください。
その次に、決算書や実際の売上等を基に各項目記載をしていきます。
具体的には、以下の3つです。
- 「当該事業の原価」に、補助事業の原価(当該事業の原価算出根拠に基づく金額)を入力。
- 「原価総額」に、従来事業と補助事業の原価(損益計算書、製造原価報告書等に基づく金額)を入力。
- 「当該事業の原価算出根拠」には、当該事業の原価の算出根拠となる具体的な、内訳・計算式や経費項目の金額、適正な理由を記載。
注意点としては、3の部分です。
この部分での差し戻しが多発します。より具体的に、1・2の数字と合うように記載する必要があります。
【当該事業の原価算出根拠の記入例】
- 計上なし(該当する金額が「0」の場合)
- 原価総額.〇%
- 当該事業売上比率○%.原価総額
- 月額賃金○○円.12か月等
3:「本年度収益」を登録
「製品等情報」まで登録が完了しましたら「本年度納付額」を確認してください。
手順は、以下の通りです
- 「本年度納付額」の「未入力」をクリックします。
- 「本年度納付額」を確認します。
- 「備考」を登録する場合は入力後に更新をクリックします。
- 次のステップに進む場合は、➅損益計算書等登録画面へ進むをクリックします。
この部分は、自動計算されます。
もし、この時点で「本年度の収益納付額」が0でない場合は、国へ一定金額を納付する必要がありますので必ず確認してください。
4:「損益計算書等」を登録
次に、「損益計算書等」を登録します。
「損益計算書等」の「未入力」をクリックします。
こちらは、決算書を添付するのみです。
「ファイルの選択」をクリックし、パソコンに保存してある損益計算書、貸借対照表、労働者名簿、賃金台帳、製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細表(内訳)のファイルをそれぞれ選択します。
※ファイル形式はPDFを推奨します。
※賃金台帳は大規模賃金引上枠の補助事業者様のみ登録が必要です。
5:「文書発信年月日」の登録及び報告書を印刷
続いて、「文書発信年月日」の登録及び報告書を印刷します
手順は、以下の通りです。
- 「文書発信年月日(報告書印刷)」の「未入力」をクリック。
- 「文書発信年月日」を入力。(入力当日の日付で良いです)
- 「登録」をクリック。
・登録確認画面で登録実行をクリック
・登録完了画面で報告書印刷をクリック
・その後はファイルを開くか、任意の場所にデータを保存し、A4判で印刷し、保管しておいてください。 - 報告を完了する場合は「事業化状況・知的財産権報告書」の画面に戻って完了をクリック。文書発信年月日まで入力が完了すると完了がクリック可能となります。
6:「経営課題アンケート」を登録
最後に、事業化状況報告を完了する際に「経営課題アンケート」の登録を行ってください。
「経営課題アンケート」は6年間、毎年登録する必要があります。
手順は、以下の通りです。
- 「1. 経営課題・関心事項」につき、1つ以上選択(複数選択可能)。
- 「2. 関心施策」は、経営課題・関心事項に対する関心施策について、1つ以上選択(複数選択可能)。
- 経営課題アンケートを登録して報告を完了する場合は登録をクリック。
以上で事業化状況報告が完了となります。
提出したものを事務局が確認し、修正がある場合は不備・修正の連絡が入ります。
事業化状況報告で「収益納付」にならない方法について
続いて、事業化状況報告で収益納付にならない方法についてご紹介します
「せっかく補助を受けたのに、収益納付で返金をしなくてはいけないのか」と心配になりますよね。
結論的には、相当の利益が出た場合は収益納付しなければなりません。
しかし、やり方次第では収益納付にならない方法もあります。
1:新規事業の人件費を高く計上する
事業再構築補助金では、多くの場合「既存事業」「新規事業」と2つの事業を行っている事業者さんがほとんどだと思います。
その場合、先ほどの「原価算出表」で新規事業の人件費を高く計上しておくことで利益を少なくすることができます。
2:販売管理費を徹底的に見直して新規事業に計上する
1と同様、新規事業の販管費をしっかり計上してください。
販管費は、既存事業との住み分けが難しい場合も多く本来は新規事業のものが既存事業の数字に混在している場合もあります。
一度、しっかりと計算し直すことをお勧めします。
まとめ
さて、本記事では
- 事業化状況報告の書き方の手順
- 事業化状況報告で「収益納付」にならない方法
についてご説明いたしました。
どうしても自分ではできそうにないという方は、当事務所までご連絡ください。