こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。
近年では外国人と国際結婚するという方も増えてきましたよね。このページを見ているあなたも国際結婚を検討しているのではないでしょうか?
しかし、国際結婚をする上で気がかりなポイントが生まれた子供の国籍についてですよね。
そこで今回は、外国人の方との子供が出来た場合の国籍について解説していきたいと思います。
この記事は、国際結婚手続きに詳しい行政書士の私が法律用語を一切使用せずに「シンプルに分かりやすく」をモットーに作成しています。
どこで生まれても日本国籍を取得することは可能
出生した子供の国籍の決め方はその国によって異なります。
例えばアメリカの場合は、父母共にアメリカ人ではなかったとしても、アメリカ国内で出生した子供はアメリカ国籍を取得することが可能です。このように「国内で生まれたから自国の国籍を取得出来る」という方式を「生地主義」と言います。
しかし、日本ではこの生地主義を採用しておらず、代わり「父母両系血統主義」を採用しています。
父母両系血統主義というのは「親と同じ国籍が子供にも与えられる」というものです。そのため「父母どちらかが日本国籍を有しているなら、子供にも日本国籍が与えられる」ということになります。
逆に言えば、海外で生まれた子供であっても父母どちらかが日本国籍を有しているなら、子供も日本国籍を取得することが可能となっています。
日本国籍を取得出来ないケースもあり
前述の通り、父母どちらかが日本国籍を持っているなら子供も日本国籍を取得することが出来ます。
ただし、場合によっては日本国籍を取得出来ないというケースもあります。次はそうしたケースについてご紹介していきます。
1:婚姻届を提出する前に子供が生まれた場合
子供が日本国籍を取得出来ないケースとして「婚姻届を提出する前に子供が生まれた場合」が挙げられます。
例えば日本人男性が外国人女性と交際し、結婚する前に子供が生まれたとします。
この場合、子供の国籍は母親の国籍と同じになります。そのため子供は日本国籍を取得することが出来ません。
厳密には日本国籍を取得することが不可能というわけではありませんが、出生届を提出するだけで日本国籍を得ることが出来ません。別途で国籍取得届を提出する必要が出てきます。
逆に外国人男性が日本人女性と交際し、結婚前に子供が生まれた場合は、母親に日本国籍があるため子供も出生届を出すだけで日本国籍を取得することが可能です。
2:正式に婚姻が成立していない場合
婚姻届は提出したものの、正式に婚姻が成立していない場合も子供は日本国籍を取得することが出来ません。
国際結婚というのは単純に婚姻届を提出すれば成立するわけではなく、日本と相手の国とで婚姻届をすぐに受理してもよいのか審査が行われる場合があります。
その場合は婚姻届を提出してもすぐに婚姻が成立するわけではなく、「受理伺い期間」という扱いになります。
無事に婚姻届が受理されれば子供は日本国籍を取得することが出来ますが、そうでない場合は別途国籍取得届が必要になりますので注意しましょう。
国籍法改正により日本国籍を取得出来るようになった
先にご紹介した通り、正式に婚姻が成立していない状態で外国人の母から生まれた子供は日本国籍を取得するのに別途手続きが必要でした。
しかし、平成21年1月1日からは国籍法が改正されたため、日本国民である父親から認知をされていれば子供も日本国籍を取得することが可能になりました。
こちらは出生時だけではなく、出生後でも手続きが可能となっています。
各種手続きは市役所等で行うことが可能となっていますので、是非相談してみてください。
多重国籍の扱いについて
国際結婚で生まれる子供は、場合によっては2つ以上の国籍を持つ多重国籍の状態になることもあります。
例えば外国人の方と日本人の方で国際結婚を行い、子供がアメリカで生まれたとします。
アメリカは先にもお伝えした通り生地主義の国なので、アメリカで生まれた子供はアメリカ国籍を取得します。
一方で、子供の両親の片方は日本人なので、子供は日本国籍を取得することも可能です。これが多重国籍状態となります。
日本では多重国籍は認められていません。そのため、子供は20歳になるまでにいずれかの国籍を選択する必要があります。
*令和4年(2022年)4月1日に22歳→20歳に変更されました。
ただし、国籍を決定しなくてはいけない20歳までの間は、多重国籍の状態であっても日本国籍として扱うことになっています。そのため日本に在留するための資格を取得するための申請を行う必要はありません。
まとめ
今回は国際結婚によって生まれた子供の国籍について解説させていただきました。
基本的に日本人と外国人の国際結婚の場合、婚姻が正式に成立しているなら子供は問題なく日本国籍を取得することが可能です。
また、結婚をしていない状態で生まれた子供であっても、日本国民の父親から認知をされているなら手続きによって日本国籍を取得することが可能です。
ただし、国際結婚の場合は日本の法律だけではなく、相手の国の法律も重要になってきます。そのため、相手の国の法律では子供の国籍はどう扱うのか?というのもしっかりとチェックしておきましょう。