こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。
さて、個人事業主や中小企業を経営している方の中には、新商品や新ブランドの発売・ホームページの開設を行い新規開拓したいと考えている方も多いのではないでしょうか?
そんな時に利用したい制度が小規模事業者持続化補助金です。今回は「これから小規模事業者持続化補助金を検討していきたい」というあなたに向けて、2022(令和4年)8月現在公募中の第9回小規模事業者持続化補助金(一般型)を申請する条件や、対象経費について解説していきたいと思います。
小規模事業者持続化補助金をご検討中のあなたに向けて、事務局が公開している公募要領を参考にしながら「分かりやすく・正しく」記事を書いていきます。
この記事でわかること
- 小規模事業者持続化補助金とは
- 小規模事業者持続化補助金の対象者(要件)
- 申請を行う6つの枠
- 対象経費
になります。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う新たな販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
ポストコロナへのチャレンジを応援している補助金とも言われており、新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・ 開発等が対象例にあたります。
小規模事業者持続化補助金は、2020年3月13日に第1回目の申請受付が始まり、現在は第9回目の公募期間を迎えています。
小規模事業者持続化補助金の対象者となるのは誰?
それでは、小規模事業者持続化補助金の対象となる事業者はどんな方でしょうか。
ここでは要件を3つのカテゴリに分けて解説します。
以下の要件3つ全てに当てはまる、法人・個人事業主・一部の特定非営利活動法人が対象となります。
要件1:「業種」と「従業員数」
まずは、対象となる業種と従業員数についです。
以下のいずれかに当てはまっている必要があります。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) ・宿泊業・娯楽業 ・製造業その他 | ・5人以下 ・20人以下 ・20人以下 |
要件2:事業形態
次は、事業形態についてです。
以下の双方ともに当てはまる事業者が対象になります。
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
- 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
要件3:その他
他にも、次のような条件をクリアしている必要があります。
- 補助事業が[地道な販路開拓等のための取組] or [販路開拓等の取組+業務効率化]のための取組であること
- 同一内容の事業について、国が助成する他の補助金、委託費等と重複する事業ではないこと
- 研究のための費用など、1年以内に売上げにつながらない事業ではないこと
- マージャン店・パチンコ店など公の秩序を害するおそれがないこと
- 本補助金の受付締切日の前10か月以内に、小規模事業者持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
- 申請時点で開業していること
以上、要件①②③の全てに当てはまる事業者は概ね小規模事業者持続化補助金の対象となります。
要件は、そこまで厳しくはないと言えるでしょう。
一人社長でも応募できるなど、小規模な事業者であれば幅広く対象になるので非常に人気の高い補助金です。
小規模事業者持続化補助金の申請類型は?
現在第7回となった小規模事業者持続化補助金では、以下の6つの申請類型に分かれて募集されています。
- 通常枠
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
- インボイス枠
それぞれの補助額・補助率については以下の通りです。
■通常枠
- 補助率:2/3
- 上限:50万円
■賃金引上げ枠
- 補助率:2/3(赤字事業者については3/4)
- 上限:200万円
■卒業枠
- 補助率:2/3
- 上限:200万円
■後継者支援枠
- 補助率:2/3
- 上限:200万円
■創業枠
- 補助率:2/3
- 上限:200万円
■インボイス枠
- 補助率:2/3
- 上限:200万円
になります。
どんな経費が対象になる?
次は、対象となる経費についてご説明します。
小規模事業者持続化補助金に、申請できる経費は具体的に決まっており次の項目になっています。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
以上の11項目になります。
以下に、それぞれの詳細を記載します。
1:機械装置等費
機械装置等費とは、補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費です。
<対象になる例>
- 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
- 衛生向上や省スペース化のためのショーケ ース
- 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
- 新たなサービス提供のための製造・試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む)
- 販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア(精度の高い図面提案のための設計用3次 元CADソフト、販促活動実施に役立てる顧 客管理ソフト等)
- ブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械設備
- 管理業務効率化のためのソフトウェア(クラウドサービス含む)
<対象外となる例>
- 自動車等車両
- 自転車・文房具等・パソコン・事務用プリンタ ー・複合機・タブレット端末・WEB カメラ・ウ ェアラブル端末・PC 周辺機器・ 電話機・家庭および一般事務用ソフトウェア・ テレビ・ラジオ・その他汎用性が高く目的外使用になりえるもの
- 既に導入しているソフトウェアの更新料
- 単なる取替え更新であって新たな販路開拓につながらない機械装置等
- 古い機械装置等の撤去・廃棄費用
- 船舶
- 動植物
2:広報費
広報費とは、新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等にようする費用のことです。
<対象になる例>
- チラシ・カタログの外注や発送
- 新聞・雑誌等への商品・サービスの広告
- 看板作成・設置
- 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
- 郵送による DMの発送
<対象外となる例>
- 試供品(販売用商品と同じものを試供品として用いる場合)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告の掲載がな い場合)
- 名刺
- 商品・サービスの宣伝広告を目的としない看板・ 会社案内パンフレットの作成・求人広告(単なる 会社の営業活動に活用されるものとして対象外)
- 文房具等
- 金券・商品券
- チラシ等配布物のうち未配布・未使用分
- 補助事業期間外の広告の掲載や配布物の配布
- フランチャイズ本部の作製する広告物の購入
- 商品販売のための動画作成
- 販路開拓に必要なシステム開発
3:ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費とは、販路開拓等を行うためのウェブサイトや EC サイト等の構築、更新、改修、運用をするために要する経費のことです。
<対象となる例>
- 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
- インターネットを介したDMの発送
- インターネット広告
- バナー広告の実施
- 効果や作業内容が明確なウェブサイ トの
- SEO対策
- 商品販売のための動画作成
- システム開発に係る経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務システムなど)
- SNSに係る経費
<対象外となる例>
- 商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告(単なる会社の営業活動のものは対象外)
- ウェブサイトに関連するコンサルティング、
- アドバイス費用
- 補助事業期間内に公開に至らなかった動画
また、ウェブサイト関連費に関しては「補助金総額の1/4が上限」「ウェブサイト関連費のみによる申請はできない」といった規定がありますのでご注意ください。
4:展示会等出展費費
新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費です。
<対象となる例>
- 展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)
- 通訳料・翻訳料
<対象外となる例>
- 請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定日より前となる場合
- 販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらないもの
- 補助事業期間外に開催される展示会等の経費
- 選考会、審査会(○○賞)等への参加・申込費用
- 出展等にあたり必要な機械装置等
→「機械装置等費」に該当します。 - 飲食費を含んだ商談会等参加費
5:旅費
旅費は、販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費のことです。
<対象となる例>
- 展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代
- バス運賃・電車賃・新幹線料金(指定席購入含む)・航空券代(燃油サーチャージ含む。エコノミークラス分の料金までが補助対象)
- 航空保険料
- 出入国税
<対象外となる例>
- 国の支給基準の超過支出分
- 日当
- ガソリン代・駐車場代・タクシー代・レンタカー代・高速道路通行料・グリーン車・ビジネスクラス等の付加料金分
- 朝食付き・温泉入浴付き宿泊プランにおける朝食料金・入浴料相当分
- 視察・セミナー等参加のための旅費
- パスポート取得料
- GoToトラベル等の国の助成制度を利用して支払われた経費
6:開発費
開発費とは、新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費のことです。
<対象となる例>
- 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
- 新たな包装パッケージに係るデザイン費用
<対象外となる例>
- 文房具等
- 開発・試作した商品をそのまま販売する場合の開発費用
- 試作開発用目的の購入で使い切らなかった材料分
- デザインの改良等をしない既存の包装パッケージの印刷・購入
- (包装パッケージの開発が完了し)実際に販売する商品・製品を包装するために印刷・購入するパッケージ分
7:資料購入費
資料購入費とは、補助事業に必要不可欠な資料・図書等にかかる経費のことです。
<対象となるもの>
- 取得単価(消費税込)が10万円未満のもの
- 購入する部数・冊数は1種類につき1部(1冊)までのもの
<対象外となる例>
- 同じ図書の複数購入分の経費
8:雑役務費
雑役務費は、補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員の費用です。
<対象となる例>
- 臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費
<対象外となる例>
- 臨時の雇い入れとみなされない場合(例えば、あるアルバイト従業員への支払給料を雑役務費として 計上した後、当該アルバイト従業員に社会保険を適用させ正規型の従業員として雇い入れる場合等)
- 通常業務に従事させるための雇い入れ
- 補助事業計画に明記されていない経費の場合
9:借料とは
借料とは、補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費のことです。
<対象となる例>
- 本事業に要する経費で、借用のための見積書、契約書等が確認できるもの
- 契約期間が補助事業期間を越える場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみ
- 新たな販路開拓の取り組みの一環として新たに事務所を賃借する場合の費用
<対象外となる例>
- 自主事業など補助事業以外にも使用するもの
- 通常の生産活動のために使用するもの
- 既存の事務所等に係る家賃
- 商品・サービス PRイベントの会場を借りるための費用
10:設備処分費
設備処分費とは、販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵 の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費のことです。
<対象となる例>
- 既存事業において使用していた設備機器等 の解体・処分費用
- 既存事業において借りていた設備機器等の 返却時の修理・原状回復費用(賃貸借契約 が締結されており、使用者であることが法的 に確認できることが必要です)
<対象外となる例>
- 既存事業における商品在庫の廃棄・処分費用
- 消耗品の処分費用
- 自己所有物の修繕費
- 原状回復の必要がない賃貸借の設備機器等
11:委託・外注費
委託・外注費とは、上記①から⑩に該当しない経費であって、自社では実施困難なもので補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費のことです。
<対象となる例>
- 店舗改装・バリアフリー化工事
- 利用客向けトイレの改装工事
- 製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
- 移動販売等を目的とした車の内装・改造工事
- 従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
- インボイス制度対応のための取引先の維持・ 拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、 中小企業診断士等)への相談費用
<対象外となる例>
- 補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事
例:単なる店舗移転を目的とした旧店舗・新店舗の解体・建設工事、住宅兼店舗の改装工事における住宅部分、既存の事業部門の廃止にともなう設備の解体工事 - 「不動産の取得」に該当する工事
以下3つ全てを満たすものは対象外
(ア)外気分断性: 屋根および周壁またはこれに類するものを有し、独立して風雨をしのぐことができる
(イ)土地への定着性: 基礎等で物理的に土地に固着していること。
(ウ)用途性: 建造物が家屋本来の目的(居住・作業・貯蔵等)を有し、その目的とする用途に供しうる一定の利用空間が形成されていること。
以上、11項目になります。
いかがでしょうか。
あなたが始めたい事業に利用できそうな経費はありましたか?
最後に、公募要領に以下のものは対象外とはっきり記載していますので記載します。
その他、対象外となる経費
- 補助事業の目的に合致しないもの
- 汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)
- 必要な経理書類(見積書・請求書・領収書等)を用意できないもの
- 交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの
- 自社内部やフランチャイズ本部との取引によるもの
- 共同申請における共同事業者間の取引によるもの(共同事業者が共同事業者以外から調達したもののうち、①機械装置等費に掲げる経費のみ補助対象)
- 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
- 映像制作における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る関連経費
- オークションによる購入(インターネットオークションを含む)
- 駐車場代、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費
- 事務用品等の消耗品(名刺、文房具、インクカートリッジ、用紙、はさみ、テープ類、クリアファイル、無地封筒、OPP・CPP 袋、CD・DVD、USB メモリ・SD カード、電池、段ボール、梱包材の購入など)
- 雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
- 茶菓、飲食、奢侈、娯楽、接待の費用
- 不動産購入・取得費、修理費(ただし、設備処分費に該当するものを除く)、車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用および訴訟等のための弁護士費用
- 金融機関などへの振込手数料(ただし、発注先が負担する場合は補助対象とする)、代引手数料、インターネットバンキング利用料、インターネットショッピング決済手数料等
- 公租公課(消費税・地方消費税は、(消費税等を補助対象経費に含めて補助金交付申請額を申請し、その内容で交付決定を受けた「免税事業者・簡易課税事業者の単独申請者」を除き、)補助対象外とする。ただし、旅費に係る出入国税は補助対象とする。)
- 各種保証・保険料(ただし、旅費に係る航空保険料、展示会等出展で主催者から義務付けられた保険料に係るものは補助対象とする)
- 借入金などの支払利息および遅延損害金
- 免許・特許等の取得・登録費
- 講習会・勉強会・セミナー研修等参加費や受講費等
- 商品券・金券の購入、仮想通貨・クーポン・(クレジットカード会社等から付与された)ポイント・金券・商品券(プレミアム付き商品券を含む)での支払い、自社振出・他社振出にかかわらず小切手・手形での支払い、相殺による決済・支払い
- 役員報酬、直接人件費
- 各種キャンセルに係る取引手数料等
- 補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用
- 購入額の一部又は全額に相当する金額を口座振込や現金により申請者へ払い戻す(ポイント・クーポン等の発行を含む)ことで、購入額を減額・無償とすることにより、購入額を証明する証憑に記載の金額と 実質的に支払われた金額が一致しないもの
- 保険適用診療にかかる経費
- クラウドファンディングで発生しうる手数料(返礼品、特典等を含む)
- 1取引10万円(税抜き)を超える現金支払
- 補助事業期間内に支出が完了していないもの(分割払い、クレジットカード決済、リボルビング支払 等の場合、金融機関等から引き落としが補助事業期間内に完了していることが必要。)
- 売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
になります。
まとめ
今回は、小規模事業者持続化補助金の申請条件や対象経費についてご紹介しました。
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主含む幅広い範囲の方に対応しています。新型コロナウィルスやウクライナ情勢による影響を乗り切るためにも、ぜひ活用していきましょう。