こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用に関する手続きを専門に扱っています。
「親から相続した農地を売りたいのですが、どうすればいいですか?」
実は、このご相談、とても多いんです。
ただ、ここで多くの方がつまずくのが――
👉 農地法3条と5条の違い です。
「農地を売る=3条?」
「宅地に変えるなら5条?」
どっちなのか混乱してしまうんですね。
今日は 相続農地を売却したい方に向けて、農転5条の必要性・費用・必要書類・失敗事例 をわかりやすく解説します。
農地を売るときに必要なのは3条?5条?
農地法3条
農業を続ける前提で、農地を売買・賃貸する場合に必要。
👉 つまり「買う人も農業をやるなら3条」。
農地法5条
農地を売却して、買主が宅地や駐車場など非農業利用する場合に必要。
👉 「売却→家を建てる」「駐車場にする」などはすべて5条。
ポイント
- 農業をやる人に売る=3条
- 宅地や駐車場にするために売る=5条
👉 相続した農地を「宅地利用前提で売りたい」場合は 農転5条 が必要になります。
無許可で売却したらどうなる?
- 売買契約が無効(農地法5条3項)
- 原状回復命令(造成していた場合)
- 工事停止命令
- 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(農地法64条)
👉 許可を経ない売却は契約そのものが無効扱い。
買主に迷惑がかかり、最悪の場合「売買代金の返還+損害賠償」に発展します。
農転5条売却に必要な書類
代表的なものは以下です。
- 登記事項証明書(3か月以内)
- 公図
- 案内図・位置図(都市計画図など)
- 売買契約書(農転許可前に締結する場合は条件付契約にする必要あり)
- 資金計画書(買主の支払能力を示す書類)
- 建築計画概要書(買主が住宅や施設を建てる場合)
- 排水計画書(周辺農地への影響を説明)
👉 契約書の扱い方や資金計画の証明でつまずくケースが多く、専門家のサポートが安心です。
費用の目安
- 書類取得費用:数千円
- 行政書士報酬:20〜50万円
- 測量費用(境界不明の農地の場合):30〜80万円
- 地目変更登記:1〜2万円+司法書士報酬
👉 合計で30〜100万円超。
特に「相続登記が未了」「境界が不明」な場合、費用は増えやすいです。
千葉・茨城・埼玉での実例
千葉県松戸市
相続農地を売却。市街化区域で届出のみでOK。
👉 費用:約30万円。
茨城県取手市
相続農地を売却、調整区域で農転5条許可が必要。測量も追加。
👉 費用:約80万円。
埼玉県春日部市
相続農地を売却し、買主が倉庫を建設。開発許可も必要。
👉 費用:約150万円。
よくある失敗例
- 許可を得ずに売却契約 → 契約無効、トラブルに発展
- 相続登記をしていなかった → 売却自体が進められない
- 測量を省略して境界トラブル → 買主からクレーム、契約解除
- 契約書を普通に締結してしまい、農転不許可で「白紙解約」
まとめ
- 相続農地を売却する場合、買主が非農業利用するなら農転5条が必須
- 農業利用のまま売る場合は3条
- 無許可売却は契約無効+罰則のリスク
- 費用は30〜100万円超。相続登記や測量で変動
- 自力でできるのは書類取得程度。契約書や申請は専門家必須
👉 相続農地を売りたい方は、まず相続登記を済ませ、その後に農業委員会・専門家に相談するのが損をしない近道です。