こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
当事務所では「農地転用」や「開発許可」といった土地活用の手続きを専門に扱っています。
最近とても多いご相談が、
「親の農地に二世帯住宅を建てたい」
というものです。
「親と同居して安心させたい」「子育てをサポートしてもらいたい」など、二世帯住宅のニーズは年々増えています。
でもここで立ちはだかるのが 農地法5条の壁。
「親子間だから大丈夫」「ただで貸してもらうだけだから平気」と思っていませんか?
👉 実は、親の農地に二世帯住宅を建てるときも、農転5条の許可が必要 です。
今回は二世帯住宅にフォーカスし、費用の目安と自分でできる/専門家に任せる境界ライン を徹底解説します。
なぜ二世帯住宅でも農転5条が必要?
親名義の農地を子が使って家を建てる場合、多くは 使用貸借(無償で貸す契約) にあたります。
農地法第5条は「所有権移転や貸借などで他人に渡し、その人が農地以外に転用する場合は許可が必要」と定めています。
👉 親子間でも例外はなく、「貸す」関係がある以上、農転5条が必須 です。
二世帯住宅ならではの注意点
- 建物規模が大きい → 建蔽率・排水計画を厳しくチェックされる
- 同居人数が多い → 使用目的の説明を丁寧にしないと不備扱いされる
- 駐車場が必要 → 農地を駐車場に転用する場合も同時に申請が必要
👉 普通の一戸建てよりも、申請のハードルが上がりやすいです。
費用の目安(千葉・茨城・埼玉の二世帯住宅ケース)
- 登記事項証明書・公図取得:数千円
- 測量(境界が不明確な場合):30〜60万円
- 行政書士報酬:30〜50万円(建物規模が大きいと高め)
- 地目変更登記:1〜2万円+司法書士報酬
👉 合計:50〜100万円程度 が目安です。
※調整区域や農振除外を伴う場合はさらに高額化します。
自分でできること(費用節約ポイント)
- 登記簿謄本や公図を法務局で取得(数百円〜600円)
- 印鑑証明書や住民票を市役所で取得
- 案内図をGoogleマップで印刷して位置をマーク
👉 このあたりは誰でもできます。
専門家に任せるべきこと
- 農転5条申請書の作成:資金計画や同居人数など、二世帯住宅ならではの情報を正確に記載する必要あり
- 境界確定測量:隣地との境界トラブルを避けるため必須(自力不可)
- 使用貸借契約書の作成:親子間でも書面が必要
- 都市計画法の許可調整:調整区域では農転だけでなく34条許可も絡む
👉 特に「二世帯住宅で規模が大きい案件」ほど、専門家の調整力が欠かせません。
実際の事例
千葉県柏市の事例
親の農地に二世帯住宅を建築。境界が明確だったため測量不要。
👉 費用:約45万円。
茨城県守谷市の事例
相続した農地を宅地に転用。境界測量と排水計画の追加指示。
👉 費用:約80万円。
埼玉県春日部市の事例
調整区域で二世帯住宅を計画。農転5条+都市計画法34条許可。
👉 費用:約120万円。
まとめ
- 親の農地に二世帯住宅を建てる場合も、農転5条の許可が必要
- 建物規模が大きいため、排水計画・駐車場利用など審査が厳しくなりがち
- 費用は50〜100万円程度。測量や開発許可があるとさらに増える
- 自力でできるのは書類取得や案内図作成まで。申請書や測量は専門家必須
「親の農地に二世帯住宅を建てて安心して暮らしたい」――その気持ちはとてもよく分かります。
ただし、農転5条を避けては通れません。まずは農業委員会に相談し、早めに専門家に依頼するのがスムーズです。