こんにちは。千葉県柏市のグリー行政書士事務所、代表の酒井です。
農転(農地転用)や開発許可を専門に業務を行っています。
今回は「農地転用とは」というテーマで、一般の方にも分かりやすく、かつ法令を根拠にしながら解説していきます。
農地転用の定義
農地転用とは、農地を農地以外の用途にすることをいいます(農地法第4条第1項・第5条第1項)。
つまり「耕作の目的で使う土地」から「耕作以外の目的に使う土地」に変える行為です。
代表的な例は以下のとおりです:
- 農地を宅地にして住宅を建てる
- 農地を駐車場にする
- 農地を資材置き場や倉庫用地にする
逆に、畑に農業用倉庫を建てる場合など、一定の条件下では農地転用許可が不要となるケースもあります。
農地転用が必要なケース
- 親の田んぼを宅地にして家を建てたい
- 空き地のように見えるが登記上「田」や「畑」になっている土地を駐車場にしたい
- 太陽光発電設備を設置するために農地を造成したい
いずれも農地法の許可を受けずに行うと違法転用となり、是正命令や罰則の対象になる可能性があります(農地法第64条)。
農地転用が不要なケース
- 家庭菜園として宅地の一部で野菜を育てる場合(宅地扱いのまま)
- 農業用の軽トラックを一時的に停めるスペース
- 畑に果樹を植えて果樹園にする場合
ただし判断が難しいケースも多く、市町村や農業委員会への相談が欠かせません。
農地の種類と転用の難易度
農地にはランクがあり、原則として生産性の高い農地ほど転用は難しいとされています。
- ① 農業振興地域内農用地区域(青地)…原則転用不可、除外申請(農振除外)が必要
- ② 甲種農地・第1種農地…優良農地で原則不許可
- ③ 第2種農地…条件によって許可の可能性あり
- ④ 第3種農地(白地)…市街地にあり、転用しやすい
千葉・茨城・埼玉でも、青地か白地かによって手続きのハードルが大きく変わります。
手続きの流れ
- 事前調査・相談
- 登記簿・課税地目の確認
- 都市計画法の規制確認(市街化区域か、市街化調整区域か)
- 申請書類の準備
- 農地転用許可申請書
- 添付書類(登記簿謄本、公図、資金計画、事業計画図 等)
- 農業委員会への申請・審査
- 事前に地区担当の農業委員の確認を受ける必要がある場合もあります。
- 都道府県(または市町村)での審査
- 必要に応じて現地調査
- 農業委員会総会での審議
- 許可証交付
- 許可が下りたら、地目変更登記を行うことで正式に宅地等として扱われます。
注意点・失敗しやすい事例
- 青地をそのまま申請して不受理:必ず農振除外から進める必要があります。
- 隣地への影響:田んぼを埋め立てる場合、隣接農地に水害を与えない排水計画が必須。
- 資金計画の不備:住宅ローンの事前審査資料などが求められる。
- 申請時期の遅れ:締切を1日でも過ぎると翌月に回され、家づくりの計画が大幅に遅れることがあります。
Q&A よくある質問
Q1. 登記上は宅地だけど、課税地目が田の場合は農地転用が必要?
→ はい。登記と課税で食い違っていても、実態が農地なら許可が必要です。
Q2. 自分で手続きできる?
→ 法律上、本人申請は可能ですが、添付書類や都市計画法の許可調整などが複雑で、実務的には行政書士に依頼するのが一般的です。
Q3. 費用はどのくらいかかる?
→ 農地転用許可申請の手数料は自治体によりますが数千円程度。
ただし、都市計画法の開発許可が必要な場合は、造成費・測量費・設計費など数百万円単位になることもあります。
まとめ
- 農地転用とは、農地を農地以外にすること(農地法第4条・第5条)。
- 許可が必要なケースと不要なケースを区別することが重要。
- 青地は転用困難、白地は比較的容易。
- 手続きには農業委員会・都道府県の審査があり、数か月単位の時間がかかる。
- 千葉・茨城・埼玉でも、市街化調整区域や農振除外が絡む案件が多い。
まずはお住まいの市役所や農業委員会に相談してみましょう。
もしご自身での申請が難しい場合は、農地転用に詳しい行政書士への相談をおすすめします。