こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。
日本政策金融公庫の創業融資支援をしております。
クリニック(診療所)を開業する際には、失敗しないためにどんな準備が必要なのか、また成功させるためのコツなどを理解しておくことが大切です。
そこでこの記事では、クリニック開業でよくある失敗やミスと、それを最小限に抑える方法についてご紹介し、ビジネスを成功させるために役立つ情報を解説していきます。
クリニック(診療所)開業の概要
クリニックの開業は、医師としての技量やスキルはもちろん、経営者としての姿勢が求められることになります。
そのため、どのような視点や準備が必要なのか把握しておき、しっかりと取り掛かっていく必要があるのです。
■クリニック(診療所)の特徴
『クリニック(診療所)』は、法律においては患者の入院を要しないもの、もしくは19床以下の入院設備を有するものを指しています。
開業形態にはさまざまなものがあり、
- 戸建て
- ビルテナント
- 既存クリニックの承継
- 複合施設(モール、医療ビルなど)
といったものが見られます。
『戸建てのクリニック』の場合、土地を購入あるいは借地に建物を建設するケースや、借地に建てられた建物をリースする、といった形態があります。
『ビルテナント』は、既存のビルの一室を賃借して開業する形態で、初期コストを抑える開業方法であると言われています。
『既存クリニックの継承』とは、すでに運営しているクリニックの基盤を引き継ぐもので、売上計画などの立てやすさが大きなメリットとなります。
『複合施設』とは、クリニックモールや医療ビルなどに入居する形態で、テナントと同様に初期コストを抑えることができます。
■クリニック(診療所)開業に求められる視点
- 経営センス
- セールスポイント
- 事業計画の立案
クリニック(診療所)開業に求められる視点は、医師としての技量やスキルだけではなく、経営者としての見識が求められることになります。
経営センスについては、医療制度の改正をはじめ、社会全体の環境変化に柔軟に対応する姿勢が求められることになります。
また、地域住民にあった医療サービスの提供ができるようセールスポイントを明確にし、コミュニケーションに工夫を取り入れるなど満足度を高める必要があります。
さらには、経営を軌道に乗せるために、患者の確保が大切で、競合のクリニックや病院に対する調査を踏まえ、売上を予測し、売上計画を立てていきます。
また、土地や医療機器などの購入費用の返済に無理が生じないか、綿密な資金計画も求められることになります。
クリニック開設時にみられるよくある失敗
クリニックを開業する場合、準備しなければならない内容、検討すべき要素がとても多く、しっかりと計画通りに進めているように思っても、思わぬ失敗をおかしがちです。
以下では、クリニック開業時によくある失敗例をご紹介します。
■立地条件
クリニックを開業する上で最も重要なステップのひとつが、適切な場所を見つけることです。
見つけやすい場所にあり、十分な駐車場、アクセスの良い場所、オフィスや学校が設置されているなどの条件に適している場所を見つけるようにします。
さらに、開業に適しているのか開業の候補地ごとに必ず調査し、見込み患者数を割り出しておく必要があります。
クリニックの立地条件を正確に見極めないと、患者の受け入れに悪影響が出る可能性があるからです。
■スタッフの雇用
クリニックの成功には、適切なスタッフの採用が欠かせません。
医療スタッフとして有能な看護師などを見つけるだけでなく、適切な事務スタッフも雇用する必要があります。
これらのスタッフはクリニックの最前線に立つことになりますから、スピーディな診察、丁寧な対応を心がけていないと、患者からのクレームに繋がってしまうことになります。
そのため、スタッフ同士の連携やコミュニケーションも大切で、クリニック全体で目標に向かって進んでいく必要があります。
■十分な資金計画がない
クリニックを開業する前に、綿密な資金計画を立てることが重要です。
開業後には患者様が十分に来院してもらえない可能性がありますし、そのような状況でも、家賃や保険、設備、給与など、さまざまなコストが発生します。
きちんとした計画があれば、予算オーバーを防ぐことができますし、運転資金は6か月程度用意するなど、事前に資金を融資を活用するなどして確保しておくことも大切です。
■良いマーケティングプランを持っていない
クリニックの開業から新規顧客である患者様を集めるまでには長い時間がかかるため、優れたマーケティングプランを立て、実行していくことが大切です。
折込広告だけではなく、ホームページやブログ、SNSを活用したWebマーケティングなど、従来のマーケティング戦略とデジタルマーケティング戦略の両方を計画する必要があります。
良い計画を立てることで、クリニックの成功は大きく変わります。
クリニック開業で失敗しないために
クリニックを成功させ、大きな問題なく開業するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
そのポイントをいくつかご紹介します。
■綿密なリサーチ
クリニックを開設する前に、法的な内容をはじめとして、財政、運営上のタスクについてよく調べておくことが大切です。
情報を入手し、計画を立てておくことで、ミスを最小限に抑え、費用のかかる遅延を避けることができます。
また、クリニック開業の専門家に相談することも一つの方法になります。
法務や財務の専門家に依頼することによって、重要な内容を欠落させずに進めることができ、さらにはクリニックの運営に専念できるようになります。
■クリニック開業までの事業計画
クリニックを開業するまでのスケジュールをしっかりと立てることで、計画通りに進めることができます。
事業計画には、開業場所、機器の購入、スタッフの雇用など、重要なステップから始め、マーケティングや運営まで、さまざまなな要素を盛り込む必要があります。
スケジュールを立てることで、必要な準備作業がすべて完了し、予定通りに進めることができます。
■資金計画
資金計画を立てることで、クリニックの開業に必要な資金が明らかとなり、どのくらいの融資が必要になるのか明確に把握することができます。
必要な資金と同時に、売上見込みも明らかにし、どのように返済していくのか計画を立てなければなりません。
クリニック(診療所)開業の資金調達なら日本政策金融公庫の『創業融資制度』がおすすめ
日本政策金融公庫が提供する創業融資制度では、クリニック開業時に必要となる運転資金や設備資金の融資を受けることができます。
どのような制度なのかご紹介いたしましょう。
■日本政策金融公庫の創業融資制度とは
クリニックの開業時に必要な融資が受けられる、日本政策金融公庫の2つの融資制度についてご紹介します。
『新創業融資制度』は、新たにクリニックを開業する方や、開業してから2期を終えていない方が活用できる融資制度です。
融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)となっており、多額の費用が必要となるクリニックの設備のために融資を受けることができ、運転資金も十分に確保しておくことが可能です。
基準金利は2%台から3%台と低く設定されており、設備資金の返済は20年以内、運転資金の返済は7年以内と、ゆったりと返済していくことも可能です。
『新規開業資金』については、新規開業者だけではなく、事業開始おおむね7年以内までなら融資を受けることが可能です。
融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっているため、開業後に設備投資が必要となった場合に検討することも可能です。
新創業融資制度と同様に、基準金利は低く設定されており、土地担保などが可能であれば特別金利が適用されることになります。
返済も設備資金は20年以内、運転資金ならば7年以内と、クリニックの運営を行いながら無理なく返済していくことができるでしょう。
① | ■新創業融資制度 |
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資金の使いみち | 新たに事業を始める事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
ご利用いただける方 | 新たに事業を始める方、または税務申告を2期終えていない方新たに事業を始める方、または税務申告を1期終えていない方は創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できること |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
返済期間 | 各融資制度に定めるご返済期間以内 |
担保・保証人 | 原則不要 ※原則、無担保無保証人。法人の代表者が連帯保証人となることが可能で、その場合の利率は0.1%低減される。 |
② | ■新規開業資金 |
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資金の使いみち | 新たに事業を始める事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
ご利用いただける方 | 新たに事業を始める事業開始後おおむね7年以内 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内) |
担保・保証人 | 相談 |
■クリニック(診療所)開業の資金調達ならグリー行政書士事務所に相談を
クリニック(診療所)の開業資金が必要な場合には、日本政策金融公庫が提供する創業融資制度をうまく活用すると良いでしょう。
ただ、書類の整備や面談の対策などを自分1人で取り組むには限界がありますので、専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
グリー行政書士事務所では、最短の時間で最大の融資が受けられるよう、無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。