こんにちは。グリー行政書士事務所の酒井です。日本政策金融公庫の創業融資サポートを行なっております。
起業して新しくビジネスを始めようと考えている方の中には、公庫から創業融資を受けることを検討しているという方もいると思います。
しかし、公庫から創業融資を受ける際に問題点となるのが融資担当者との面談です。面談は融資の合否を分ける重要な要素の1つで、面談が上手く行かなかったがために融資を受けられなくなってしまったという場合もよくあります。
そこで今回は、公庫から創業融資を受ける際の面談でのポイントについてご紹介していきたいと思います。
面談の時間はどのくらい?
まずは面談の時間はどれくらいか?という点について解説します。
面談の時間については、平均して約30分~1時間ほどとなっています。
創業計画書の内容や、添付資料の内容がしっかりとしているほど面談の時間は短くなる傾向にあります。
また、創業計画書や添付資料がしっかりしているというのは、融資担当者からしても疑問に感じる部分が少ないということになりますので、融資が受けられる可能性は高くなります。面談だけではなく、その前の資料作りの段階から力を入れておきましょう。
代理人の面談は認められない
公庫の融資の面談は代理人が代わりに受けることを認めていません。必ず申込者本人が面談を受ける必要があります。
そのため、受け答えが上手な代理人に代わりに面談を受けてもらうということは出来ないので注意しましょう。
怪我や病気などの理由で直接会っての面談が出来ない場合は、オンライン面談や電話面談などに変更されることもありますし、日時を改めるよう提案されることもあります。
その他、夫婦での共同経営などの場合は申込者だけではなく、パートナーの同席が認められる場合もあります。(ただし、こちらもやむを得ない事情がある場合のみで、基本的には申込者のみの面談が望ましいです。)
面談を受ける際に気をつけるべきポイントとは?
次に、面談の際に気をつけるべきポイントについて解説していきます。
1:身だしなみを整える
まずは基本的なことではありますが、キチンと身だしなみを整えた状態で面談に臨むようにしましょう。
融資担当者も人間ですので、第一印象によってあなたへの評価が左右されることは当然あります。不快感や不信感を感じさせないようにするのが大事です。
男性の場合はしっかりと髭を剃る。髪が長い場合は散髪するかまとめる。服装はスーツにするのが無難でしょう。(スーツも着崩したりしないように気をつけましょう。)
2:言葉遣いに気をつける
こちらも基本的なことではありますが、丁寧な言葉遣いで面談に臨むようにしましょう。
あまりに砕けた言葉遣いだと融資担当者に不信感を感じさせてしまう可能性があります。常識的で礼節を守った言葉遣いを心がけるのが大切です。
3:無駄話をしない
面談中はなるべく無駄話を控え、融資担当者の質問に対し要領よく答えることに注力しましょう。
余計な話が長くなってしまうと、融資担当者の心象が悪くなってしまう可能性があります。
4:創業計画書の内容と矛盾しない発言を心がける
面談で質問に答える際は、提出した創業計画書の内容と質問に対する回答が矛盾しないように気をつけましょう。
質問の答えが創業計画書の内容と異なっている場合、融資担当者に不信感を抱かれてしまう可能性があります。
面談の前にしっかりと創業計画書に目を通し、内容を詳細に把握しておきましょう。
5:自分から弱気な発言をしない
面談の際は曖昧な回答をしてしまったり、自分から事業が上手く行かないことを示唆するような弱気な発言をしてしまわないように気をつけましょう。自身の事業に自信が持てていないというのは、融資担当者から見てマイナスポイントとなります。
ただし、かと言って無意味に強気な態度であったり、質問の内容に対して虚偽の回答をしてもいけません。あくまで平静なまま、正直に受け答えするように心がけましょう。
面談でよく聞かれる質問について
次は、面談でよく聞かれる質問についてご紹介していきます。
面談では創業計画書の項目に沿った質問をされることが多く、よく聞かれる質問については
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取扱商品やサービス
- 取引先や取引関係等
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
などがあります。
次は、それぞれの質問に対する回答の要点について解説していきます。
1:創業の動機
まず創業の動機についてですが、ここでは何故創業しようと思ったのか?という点だけではなく
- 経営理念
- 創業することで社会にどんな影響を与えたいのか
という点についても説明していきましょう。
また、何故この場所で創業しようと思ったのか?というのも説明の必要がある場合がありますので、そちらについても回答を用意しておきましょう。
2:経営者の略歴
次に経営者の略歴についてです。
これについては申込者の略歴となる場合がほとんどだと思います。これまでの仕事の経験や、それをこれから始めるビジネスにどう活かしていけるかというのを説明しましょう。
3:取扱商品やサービス
次は取り扱う商品やサービスについてです。
ここでは自社商品・サービスの強味や他社との差別化要素について説明していきましょう。
また、競合相手やその理由、今後の懸念点、将来の展望と言った部分に関しても説明することが出来れば、融資担当者に対して自他の状況を十分に把握しているという印象を与えることが出来ます。
4:取引先や取引関係等
次は取引先や取引に関する項目です。
こちらでは売掛金の入金や、買掛金の支払いサイクルなどについて説明していきましょう。
また、仕入先や商品・サービスを販売する上での得意先などについて説明することが出来れば、融資担当者の印象も良くなります。
5:従業員
次は従業員についてです。
従業員に対してどんな社員教育をしていくのか?という点について説明していきましょう。
また、後継者候補などがいる場合はどのように業務の引き継ぎや教育を行なっているのかも説明しましょう。
6:借入の状況
次は現在の借入状況についてです。
どこからどれくらいの金額を借りているのか?通帳の入出金やクレジットカード、カードローンなどの残高を踏まえた上で、現在の借入状況や自己資金をどうやって用意したかというのを説明しましょう。
7:必要な資金と調達方法
次は必要な資金や、その調達方法についてです。
ここでは事業計画を本当に実行出来るのか?その再現性が重視されます。
そのため、どのように資金調達をし、商品在庫の管理などを含めた資金繰りの計画を説明していきましょう。
8:事業の見通し
最後に事業の見通しについてです。
ここでは月平均の売上や経費、その根拠などを説明していきましょう。
また、自社商品・サービスのターゲットや潜在顧客は誰か?その根拠などを説明することも重要です。
その他、今期・来期の目標がある場合、それらを伝えていきましょう。
まとめ
今回は公庫の創業融資の面談での注意点などについてご紹介させていただきました。
面談は融資の合否を分ける重要な要素ですので、身だしなみや言葉遣いはもちろんのこと、創業計画書と矛盾がない受け答えが出来るようにしっかりと準備をしておきたいですね。
また、スムーズな受け答えの基礎となるのはあくまで綿密に練られた創業計画です。そのため、創業計画を考える段階から将来の展望が見えるようなビジネスプランをしっかりと考えておきましょう。